ビジネス

2021.03.30

マクアケと徳島市が連携 36歳の女性起業家と市長が目指す「女性・若者の活躍推進」

左:徳島県徳島市市長・内藤佐和子氏と右:マクアケ共同創業者/取締役・坊垣佳奈氏。


「社会は自分たちの力で変えられる」|徳島市市長・内藤佐和子氏


──これまで、行政の課題解決を行う上で直面する壁、特に若い女性市長特有のハードルについて感じてこられたもどかしさを、どのように受け止めてこられましたか。

36歳(現在は37歳)の女性で、子育てもしているということで、「子育て支援に注力してくれるだろう」という期待はすごく感じていました。

徳島市では待機児童の課題解決として、保育施設の建設に対する補助金を予算に盛り込んでいたのですが、その予算の見直しを提案しました。これは、「新しい保育園を建てても、その分保育士さんを確保できなければ意味がない、現職の保育士さんの負担を増やしてしまうだけだ」と考えた故の提案でした。この案は提案する前から、象徴的な攻撃材料となることはわかってはいたものの、思っていた以上にバッシングを受け、非常に辛い思いもしました。

ですが、このことがきっかけで、経営者の方々も「子育て支援について会社としてやっていかないと徳島に、そして自分の会社に人は残ってくれない」ということに気付き始めてくれたんです。

そのため、批判されたことは辛かったけれども、話題になったことはよかったと今は思っています。理解されずにもどかしい思いを何度もしても、折れずに繰り返し訴え続けていくことに意味があると思っています。

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──政府が掲げる「女性活躍推進法」のなかに「2020年までに各分野の指導的地位に女性の占める割合を30%以上にする」という目標がありましたが、今だ実現には程遠い状況です。こうした状況を改善するためには、社会のジェンダーにおける思い込みをなくしていくことが重要だと思うのですが。

最近は、ジェンダーにおける課題やダイバーシティについて、「女性も声を上げていいんだ」という流れになりつつあると思うので、これを機に多くの人に声を上げてもらいたいと思っています。

「2020年までに実現目標としていたものが全然できていないのっておかしいよね」など、意見を平等に言えることが当たり前の環境にしないといけないし、それを継続しないといけない。

これまでは、誰かが少し課題提言をしても、その課題に共感はしていても口をつぐんでいる人が多かった。しかし、今は何か問題が起こると広く共有されて、その問題に関する議論が長くされるということが増えてきました。こうした状況は続くだろうし、続いていくと現状は変わっていくだろうと思います。

──5年後、10年後の日本で、若者・女性がより働きやすい環境を実現することは可能だと思いますか。

はい。社会は自分たちの力で変えられると思っていますし、そうした考えを持つ人がどんどん増えていけば、若者・女性を含め、あらゆる人が働きやすい環境というのは実現不可能ではないと思います。そう思えるような教育・環境を、徳島市ではつくっていきたいなと思っています。

取材・文=長谷川寧々

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