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連続起業家のヴィンセント・ヤンは、かつて中国を旅した際に新たなプロジェクトのアイデアを思い立った。その当時、中国では「Douyin(抖音)」という短編動画アプリが爆発的な支持を獲得していた。彼は、米国のユーザーにも類似したエクスペリエンスを提供したいと考えた。

ヤンは、Douyinの親会社のバイトダンスが2017年にMusical.lyというアプリを買収し、Douyinの米国版のアプリ「TikTok」を立ち上げたことを知っていた。しかし、初期のTikTokのコンテンツは、10代の若者たちが好きなアーティストの音源に合わせて口パクをしながら踊るリップシンク動画が中心だった。

「Musical.ly のユーザーはとても若く、TikTokのコンテンツはほぼ全てが音楽だった。しかし、私はショートビデオに、単なる遊び以上の利用法があると考えた。将来的に短編動画は人々のコンテンツの消費の仕方を変え、シリアスなニュース記事もこのフォーマットに変換されると考えた」と、ヤンは話す。

そして彼は、ライフスタイルやニュースなど、質の高いコンテンツをそろえた短編動画アプリ「Firework」を立ち上げ、より年齢層の高いユーザーをターゲットにした。Fireworkはすぐに10万人のクリエイターを獲得し、100万ダウンロードを記録した。

しかし、TikTokはその後3カ月ほどの間で、米国で爆発的な人気を獲得し、ヤンがFireworkに取り込もうとしていた、年齢層の高いユーザーたちを魅了するようになった。コンテンツも多様化し、シリアスな動画も観られるようになったのだ。

ヤンは迅速にピボットする必要に迫られた。2019年後半、Fireworkはより大きなテクノロジー企業に買収されるか、別の方向に進むかという決断を迫られた。

Fireworkの買収を検討していた企業のひとつには、グーグルが挙げられる。しかし、両社の交渉は最終的にストップした。ヤンは、彼とグーグルが結んだ機密保持契約を理由に、交渉の詳細についての説明を控えた。

中国版ツイッターと呼ばれるWeibo(微博)もFireworkの買収に興味を示したとされている。投資家たちが特に興味を持ったFireworkのテクノロジーは、単独のアプリ内のみに動画を掲載するのではなく、小規模な企業やコンテンツホルダーたちが、独自のウェブサイトにコンテンツを掲載できるというアプローチをとったことだ。これは、言わば「分散化されたTikTok」のような仕組みだ。

編集=上田裕資

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