上場後の同社の株式はナスダック市場で、ティッカーシンボル「TSP」で取引される。
TuSimpleはサンディエゴに米国本社を置き、これまでに約8億ドル(約877億円)を調達し、米国最大の自動運転セミトレーラー・トラックを運行している。また、先日はフォルクスワーゲンの商用車部門のトレイトンと、ナビスターとの提携をアナウンスし、約5700台のトラックの生産を2024年までに開始しようとしている。
TuSimpleの創業者でCTOのホウ・シャオディ(侯暁迪)は中国生まれで、上海交通大学でコンピュータサイエンスを学び、カリフォルニア工科大学でPh.Dを取得した後の2015年に同社を立ち上げた。同社は自動運転領域のリーダーであるウェイモや、新興企業のオーロラ、Embark Trucks、Kodiakなどの企業を競合に見据え、運転手のいない物流トラックを公道で走らせようとしている。
SEC(米国証券取引委員会)に提出した報告書によると、TuSimpleの2020年の売上は180万ドル、損失は1億7790万ドルだった。同社の出資元やパートナー企業としては、UPSやMcLane、エヌビディア、Nvidia、U.S.Xpress、Werner、Schneider、CNなどがあげられる。
TuSimpleの筆頭株主は、中国版ツイッターと呼ばれる「微博(Weibo)」を運営する中国のネットサービス大手「新浪(SINA)」の関連企業のSun Dream Inc.で、3100万株を保有している。TuSimpleの取締役会長を務めるチャールズ・チャオは、新浪とSun Dreamの会長を兼任している。
さらに、TuSimpleの共同創業者でエグゼクティブ・チェアマンのMo Chenが1440万株、プレジデントのシャオディ・ホウが1340万株を保有している。また、トラックメーカーのナビスターも1020万株を保有している。
株式の大半を中国の投資家が保有
TuSimpleは事業拠点を米国に置き、パートナーも米国企業が主であるにも関わらず、株式の大部分は中国の投資家が保有しており、米国のCFIUS(対米外国投資委員会)から、株式の取得に関わる取引の詳細の開示を求められている。
CFIUSは、「外国人が米国企業の権益を取得する特定の取引について、その取引が米国の国家安全保障に与える影響を判断するために審査・調査を行う」ことを目的としており、TuSimple に対する45日間の調査を行うという。
TuSimple社のトラック運送事業の多くは米国南西部で行われており、主要なエンジニアリングデポはアリゾナ州ツーソンにある。同社の最終的なゴールは、米国の全土で自動車のトラックを走行させることだ。
「当社のHDクオリティのデジタルマップは現在、米国内で3000マイル以上をカバーしており、2024年までに4万6000マイルの州間高速道路全体をマップする予定だ」と同社は申請書で述べている。