コロナワクチンを接種した母親 出産した子どもに抗体が確認

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新型コロナウイルスワクチンの初期の第3相試験はどれも、妊娠した女性や授乳中の女性を特に対象としていなかった。しかし、こうした女性たちの間におけるワクチンの安全性と有効性に関するわずかなデータは期待できるものだ。

ファイザー・ビオンテック両社が開発したワクチンの成人を対象とした初期臨床試験に登録されていた人のうち、調査期間中に妊娠した女性は20人以上いたが、その中で妊娠損失や周産期合併症を経験した人はいなかった。

また、米オレゴン州のプロビデンス・ポートランド・メディカル・センターのグループが6人の女性を対象として行った非常に小規模な最近の調査からは、ワクチン接種を受けた女性から授乳を受けた乳児が、摂取した母乳を通じて新型コロナウイルス感染症の抗体を得る可能性が示されている。

さらに、米産婦人科ジャーナル(American Journal of Obstetrics and Gynecology)に1月に掲載された研究では、ニューヨーク市で新型コロナウイルスの感染者数が急増した2020年3月から5月に同ウイルスに感染し出産していた女性らが、新型コロナウイルス感染症の抗体検査で陽性になった子どもを出産していたことが分かっている。また、新型コロナウイルス感染症を患っていたときにより明白な症状を示していた女性の方が、自身も新生児も抗体の水準が高かった。

新型コロナウイルスのワクチンはこれまで、妊娠中あるいは授乳中の女性に特化して調査されたことがなく、こうした女性へのワクチン接種はこれまで議論の対象となってきた。

米疾病対策センター(CDC)と世界保健機関(WHO)に加え、米国産婦人科学会(ACOG)や米国母体胎児医学会(SMFM)は、妊娠している女性にワクチンを接種する重要性を真剣に考慮するよう求めてきた。妊娠中の女性は急性の新型コロナウイルス感染症を発症すると、流産や自身の死を含む深刻な合併症を発症するリスクが非常に高いと考えられている。

現在では妊娠6カ月~8カ月の4000人ほどの女性を対象に、ファイザー・ビオンテックの新型コロナウイルスワクチンを使った前向き研究が実施されている。
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翻訳・編集=出田静

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