また、先に緊急使用を認められた2種類と同じ時期にJ&Jワクチンの臨床検査が開始されていたとすれば、それぞれの有効性はこれまでに示されている数値と同じになっていただろうか?それは誰にも、明らかにすることができない。
新型コロナウイルスの感染が現在のパンデミック(世界的な大流行)からやがてエンデミック(一定の地域で継続的に流行)に移行し、同時に複数のワクチンが利用可能になった後、政府はどのワクチンを購入することに決めるのだろうか?
その決断に、価格は大きく影響するだろう。J&Jのワクチンの価格は、ファイザーとモデルナの3分の1だ。そして、直接比較ができなかったことを考えれば、72%とされているJ&Jのワクチンの有効性は先行した2社のワクチンと比べて、必ずしも有意に低いとはいえない。
アストラゼネカ製ワクチンが現時点で指摘されている問題を解決し、緊急使用が認められれば、価格はトランプ前政権が進めたワクチン開発プロジェクト「オペレーション・ワープ・スピード」の下で合意したとおり、3億回分で12億ドルとなる。1回当たりの価格は4ドルだ。問題に直面している同社のワクチンだが、この価格を支持する人は多いと考えられる。
購入する側がどの薬を選ぶか検討する際、より重要になるのは製薬会社間の競争だ。流行がエンデミックの状況になった後の新型コロナウイルスのワクチンについても、それは変わらない。つまり、このワクチンの大幅な値上げを検討するのは、難しいということになる。