年内には、さらに15都市でリヴィアン製の電動配送車が導入される見込みだ。今後数年にわたって数万台ずつという規模で増車されることになる。リヴィアン製の電動配送車は、1回の充電で約240kmを走行できるため、商品配送による二酸化炭素(CO2)排出量が大幅に削減できる可能性がある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあって、商品の配送は確実に増えていくだろう。
電動配送車の導入は、アマゾンが2019年9月に発表した気候変動対策の方針「Climate Pledge」に沿ったものだ。アマゾンはこのとき、2040年までに自社バリューチェーン全体のCO2排出量を実質ゼロにすると宣言した。これは、2050年の実質ゼロを掲げたパリ協定の目標を10年前倒しするものだ。
とはいえ私たちは、特に大都市の住民にとって最優先すべき目標を達成するために、民間企業の取り組みに頼らなければならないのだろうか。こうした取り組みは、行政が真っ先に手がけるべきではないだろうか。
大都市で排出されるCO2のうち、配送車両と公共交通機関に起因する部分はどのくらいの割合なのだろうか。英ロンドンは2016年に、市内を走るタクシーとハイヤーすべてを、2033年までにCO2を一切排出しない無公害車にすることを決定した。ロンドン名物のブラックキャブを、国内で製造された電気自動車に切り替える方向へと向かっているのだ。ロンドン市内では、充電ステーションの整備も進む予定だ。
今こそ、タクシーやハイヤーに限らず、配送車両も含めて、こうした取り組みを促進していくことを検討すべきだろう。そのためには、企業が変わることが求められるかもしれないが、経済的にもリターンはあるはずだ。電気自動車の導入によって、コストは全体的に下がると見られる。維持管理コストが削減されると同時に、ディーゼルやガソリンといった化石燃料と比較すれば、電気代ははるかに安く済むためだ。電気代については、再生可能エネルギーによる発電量が増えるのに従って、下がっていくことも見込まれている。
電気自動車の供給は増加しており、旅客輸送と商品配送での利用も進みつつある。車両を活用するサイクルがより集約的になれば、導入費用の償却も、より有利になるだろう。また、車両の切り替え時に優遇を受けたり、特定用途を対象に電力補助金が支給されたりすれば、電気自動車への移行が一気に進む可能性も見えてくる。こうしたことはみな、都市におけるCO2排出量を削減するという点で必要とされるだろう。
電気自動車の導入を加速させるために積極的に取り組むべきタイミングがあるとすれば、それはまさに今だ。我々はそうできるだろうか。