札幌と東京の2拠点で「旅するように働く」

プロフェッショナルCDO 長谷川秀樹

東急ハンズ、メルカリでCIOを務め、現在は企業向けのDXの提案やコンサルティングをSaaS専業として行う長谷川秀樹。趣味の乗馬やバイク、2拠点生活の魅力について聞いた。


2019年11月にメルカリの執行役員を辞め、「プロフェッショナルCDO」として働くことを決めました。CDOはChief Digital Officerの略で、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する最高責任者。プロフェッショナルCDOとは、フルタイムの正社員ではなく、業務委託として予算と権限と責任をもって執行するポジションを任せてもらい、これを複数の会社で兼業する、という働き方です。

一方でこれも夢だった「北の大地での暮らし」を叶えるため、2020年2月から札幌と東京の2拠点生活を始めました。あるとき「コープさっぽろ」の執行役員と出会い、「養老牛放牧牛乳」というヨーグルトみたいに濃い牛乳を飲まされて。一瞬にして心を奪われ、コープさっぽろの非常勤CIO(=Chief Information Officer /最高情報責任者)に就任したのです。「運がいいね」と言う人もいますが、「すべては自らの意思ある行動の延長線上にある」と僕は思って行動しています。

趣味は、北の大地らしく、乗馬とバイク、キャンプです。乗馬は動物を扱う唯一のスポーツといわれており、約3mの高さから見る風景は普段とは別物です。柵の中を歩くだけなら初回から乗れるし、50回ほど回数をこなせば、それこそ「人馬一体」となって大地を駆け回ることができるのだとか。それをいつか体感したいです。

バイクは40代半ばから。ちょっとミーハーですが、映画『ターミネーター2』でアーノルド・シュワルツェネッガーがショットガン片手に乗っているHarley-Davidsonの「ファットボーイ」というバイクに乗っています。バイクの魅力は、自転車よりも長距離を移動できること。釧路から根室まで、民家もなければ対向車もほとんどない、右は海、左は草原という一般道があるのですが、まるで『風の谷のナウシカ』の世界みたいで、そこを飛ばすとものすごい爽快感に包まれます。都内では “ウィークエンドナイトライダーズ”と称し、土曜20時に十数人で集まって首都高速湾岸線から海ほたるまで走り、帰りにラーメンを食べて帰ったりしています。

「旅するように働きたい」と考えるようになったのは5年前、ヨーロッパで初めての一人旅を経験したころからです。ちょうど物欲より体験欲が勝(まさ)っていた時期で、「仕事以外でさまざまな体験をするには、暮らす場所を変えることがいちばんだ」と。しかし作家でもないし、いきなりはできないので、2拠点生活から始めました。サウナと水風呂という温冷交代浴は交感神経(自律神経)の働きを活発化してくれるとのことですが、東京と札幌も5°C以上違うわけで(笑)、交感神経が刺激されるようで楽しく充実した毎日が過ごせています。

以前は「社長の邸宅」や「社長の履歴書」という記事を読む側だったのが、こうして取材を受ける側になりました。それって紙一重だなと思うのです。つまり、「やろう」と決めたことを実行したか、しないかの違いだけ。お勧めは早いうちに「何歳でこうなる」と紙に記すこと。すべて書いたとおりにはならなくても、ある程度は追いつきます。「いつか俺もForbes JAPANに載る」という気概で頑張ってほしいです。
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構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

この記事は 「Forbes JAPAN No.079 2021年3月号(2021/1/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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