フランスだからつくれた。一度は体験したいシトロエン・ベルランゴ

Citroën BERLINGO

Citroën BERLINGO


ライフスタイルカーという概念がある。生活に密着して楽しみを与えてくれるクルマづくりに長けているのは、米国とフランスだ。

フランスには、高級車がないし、クロスカントリー型のSUVもほぼない。そのかわりというか、前輪駆動のSUVのカテゴリーでは、1970年代からさまざまなバリエーションが生み出されてきたという歴史がある。
 
2020年8月に日本での発売が開始された「シトロエン・ベルランゴ」も、フランスだからつくれたといってよい。

たくさんの荷物を運ぶために設計された。新型コロナによる感染症が都市間の移動を不自由にするまでは、自転車やキャンプ道具といった趣味のものから、引越や仕事の荷物まで、あらゆるものを積んで欧州を縦横無尽に走り回っていたのだ。そのために開発されたモデルである。

全高が1850mmもあるだけに、室内空間の余裕ははんぱない。加えて、グラスルーフ仕様もあり、気分最高だ。
 
室内あちこちにモノ入れが設けられているので、シトロエンの宣伝のように、ファミリーで出かけたとき、子どもたちが喜びそうだ。イヌ好きにとっても、大きなケージが搭載できるのが喜ばしい。
 
1.5リッターのディーゼルエンジンに、8段オートマチック変速機の組合せ。車重は1.6トンに抑えられているので、予想よりはるかに快適に走る。さらに渋滞時の加減速に対応しているアダプティブクルーズコントロールやレーンキープなど、運転支援システムも装備されているので、ロングツアラーとしても充分だろう。
 
ぜいたくなクルマではない。しかし機能的。思えば、スキー道具だって、トレッキングシューズだって、ヘッドギアだって、フランスにはいいものがある。
 
ライフスタイルにまつわるプロダクトづくりがうまい国からきたクルマは、実に奥深い。日本車やドイツ車びいきのひとも、いちど体験してはどうだろう。


Citroën BERLINGO◎日本では2020年10月に発売されたばかりのベルランゴ。子供を連れた外出に、キャンプやゴルフ、サーフィンやサイクリングといったアクティビティーから、リモートワークやガーデニングなど様々な用途を提案する。

text by Fumio Ogawa | edit by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.078 2021年2月号(2020/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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