テクノロジー

2021.03.26 19:00

「誘う」という言葉が似合う、BMW4シリーズ

BMW M440i × Drive

さまざまな車種が登場することで、既存の自動車が持つ価値が再定義されつつある。伝統的な2ドアクーペやミニバンが私たちの生活にもたらすものとは。

BMW M440i × Drive


誘う、という言葉がよく似合うクルマがある。例えば、2020年10月に日本発売された「BMW M440i xDrive」。ドライブしたらどうだろう、とあれこれ期待がふくらむスタイルだ。
 
とくに遠出がよさそうだ。4シリーズは3シリーズのクーペ版として開発されているので、前席主体のパッケージ。ファミリーでのドライブもいいけれど、もっとパーソナルに余暇を楽しみたい。あるいは、旅がもっと気楽にできるようになったときに期待したい。そんな向きにはいい。

大胆に上下幅をめいっぱい拡大したキドニーグリルと、低く抑えたノーズ高を組み合わせた、新しいデザインテーマが特徴的だ。2019年初頭にマイナーチェンジした「7シリーズ」で、フルサイズSUV「X7」が続いた。そして今回の4シリーズである。

側面や後方から見ると、ルーフの前後長を抑えたクーペフォルムはエレガントだ。それだけだとおとなしい印象になってしまうかもしれない。新意匠のキドニーグリルは、スポーティなこのクルマの内容を表し、上手にバランスをとっている点で、デザイナーの手腕を感じさせるものだ。

じっさいに車名に、スポーツモデルを表す「M」と入っている。285kWの3リッター6気筒エンジンのパワーを、4輪で受け止める。いっきに高回転域まで吹け上がる、素晴らしいエンジンのフィールと、同時に湧き上がるパワフルな感覚。そして、剛性感の高いボディと、すなおなハンドリング。BMWのクルマづくりの真骨頂である。
 
おもえばBMWの原点は、クーペだ。エレガントなスタイルでありながら、レースでも速い。そのクルマづくりで、1960年代以降、大きな人気を獲得した。最新のクーペである「M440i xDrive」には、BMWが長い時間をかけてつちかってきたブランドのヘリティッジが感じられる。
 
遠出をしなくても、ドライブが楽しければ、精神的な解放感は得られる。それこそ、このクルマが与えてくれる、自分のしたいことができる貴重な時間(レジャーの意味)なのだ。


BMW M440i × Drive◎BMWの特徴的なキドニーグリルが巨大化。多くの空気を取り入れて大きなパワーを出力する、というスポーツカーの文法を暗喩するようなデザインは、ただ街において存在感を発揮するにとどまらない意味を持つ。

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この記事は 「Forbes JAPAN No.078 2021年2月号(2020/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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