Discordは、パンデミックを追い風にこの1年間で巨大な人気を獲得した。2015年にジェイソン・シトロン(Jason Citron)とスタン・ヴィシュネフスキー(Stan Vishnevskiy)という2人のゲーム愛好家によって設立されたDiscordは、かつてはゲーマーの利用に特化したツールだったが、その後、ネット上でのつながりを求めるさまざまなタイプの若者たちに利用されるようになった。
アクティブユーザー数は1億人を超えており、昨年は半年間だけで約3億人が新たに登録し、2018年の同時期に比べて300%の増加となった。
その結果、創業6年目のDiscordには、資金を投じようとする投資家が列をなしている。2020年春に、Discordは35億ドルの評価額で1億ドルを調達し、12月にはさらに1億ドルを調達して評価額を2倍に伸ばした。同社は累計6億ドル近い資金を集めており、その半分はこの2年間で得たものだ。
同社の出資元にはGreylockやBenchmark、Index Venturesなど、名だたるベンチャーキャピタルの名前が並んでいる。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、Discordの昨年の売上は1億3000万ドルで、そのほとんどがサブスクリプションサービスのNitroによるものだった。しかし、黒字化は果たしていない。
関係筋によると、Discordは過去1年の間に複数の買収提案を受けたというが、最終的に身売りに応じるかどうかを決定していないという。Discordはこの記事へのコメント要請を拒否した。
Discordは最近になって、元ピンタレストCFOのTomasz Marcinkowskiを採用し、同社の初めてのCFOに任命した。Marcinkowskiはピンタレストを上場させた経験を持ち、DiscordもIPOを視野に入れているとの見方も浮上している。
Discordが上場した場合、現在提案されている買収額よりも、はるかに高い評価を得られる可能性がある。
シトロンとヴィシュネフスキーの2人は、同社の約10%の株式を保有しているとされる。100億ドル程度の売却では、2人それぞれの資産が10億ドルを突破する可能性は低いが、IPOであれば株価の上昇によって、ビリオネアの地位も狙えることになる。