ライフスタイル

2021.03.25 19:00

「何にも似ていない」という強み。ベントレーのクルマづくり

2020年6月時点で2万台以上が制作された、ラグジュアリーSUVのニューモデル。4.0リッターのV8モデルに続き、6.0リッターのエンジンを詰むスピードモデルを発売。今後はハイブリッドモデルも予定されている。

Bentley Bentayga


ブランドにとって重要なのは、コンセプトを統一することだ。統一されたイメージをつくるのが、英国のベントレーモーターズはうまい。

「ベントレー・ベンテイガ」は全高1.7m超の余裕あるサイズのSUVであるものの、セダン「フライングスパー」やクーペ「コンチネンタルGT」と、みごとにベントレーらしいと誰もに感じさせるイメージがシンクロしている。

もちろん、印象だけの話ではない。「ベンテイガV8」の場合、4リッターV型8気筒エンジンの大トルクによる加速感といい、ロール少なめで走りの楽しい操縦性といい、まごうかたなきベントレーなのだ。

2020年夏にフェイスリフトを受け、内外装が一新されている。とくにフロントフェイスは、コンチネンタルGTをイメージさせるスポーティでかつエレガントな印象がぐっと強くなった。

ベントレーがつくる車の強みは、何にも似ていないところだ。ウッドとレザーとクロームのパーツがいろどる室内の雰囲気は、ベントレー車でしか手に入らない。そのためにベントレーを選ぶ人が多いというのも、納得できる。

さらにこのフェイスリフトでは、インフォテイメントシステムが新しくなるなど、アップデートがはかられた。内装では、10.9インチの大型モニターがダッシュボードにはめこまれ、シートもデザインが変更されている。

戦前からルマンで何度も優勝するなどレースで強く、同時に高級車を手がけてきたベントレーのヘリティッジを思わせるウッドパネル中心の内装に、現代的なコネクティビティがうまく統合されている。ベントレーは、自社ブランドの強みがよくわかっているのだ。

いたずらに流麗さを追わないし、デジタライゼーションを強調することもない。逆に、そうしないことがスタイルになっている。唯一無二の個性があり、それがブランドに求められていることをしっかりと理解した上でのクルマづくりを続けているということなのだ。

text by Fumio Ogawa

この記事は 「Forbes JAPAN No.078 2021年2月号(2020/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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