ハノイ本拠のVingroupのスポークスマンはロイターの取材に、フォックスコンから「提案を受けた」ことを認めたが、「具体的には何も決まっていない」と述べた。
ロイターが3月19日に報じたところによると、フォックスコンはVingroupの自動車部門VinFastが所有するEVの生産ラインの買収を提案したという。VinFast側は、環境に優しい自動車メーカーとしてのブランドの確立を視野に入れ、そのためのパートナーシップを望んでおり、自社のEV事業を維持したいと考えているという。
ラックス・リサーチのアナリストは、「フォックスコンは、EVを会社の新たな成長ドライバーとして有望視している。VinFastの側も既存のプラットフォームを利用することで、パワートレインの設計にかける時間と費用を削減し、市場への参入を加速できる」と述べた。
フォックスコンは先月、ロサンゼルス本拠のEVのスタートアップ「フィスカー」と覚書を交わし、中国や欧州、インド、北米市場向けに25万台もの車両を製造しようとしている。同社は以前にも、フィアット・クライスラーや中国のGeelyなどの自動車メーカーと提携を結んでいた。
年間売上高が1728億ドル(約18.7兆円)に及ぶフォックスコンは、2025年から2027年の間に世界のEV市場の10%を占めることを目標としている。
Vingroupの自動車製造部門であるVinFastは、テスラのような自動運転機能を備えつつ価格を抑えた独自のEV車両を、今年中に送り出すと述べている。ベトナムで最も裕福な人物のファム・ニャット・ブオンが率いるVingroupは、2年前に国内市場で電動スクーターをデビューさせた。Vingroupは住宅開発やリゾート施設の建設、スマートフォンの製造などを手がけ、年間の売上高は56億ドルとされる。
Vingroupは3年前に自動車市場に参入しており、「EVは当社が既に策定済みのロードマップの一部だ」と述べている。
フォックスコンとVingroupは以前からつながりを持っていた。この2社は昨年、互いの製造キャパシティを活用して、人工呼吸器メーカーのメドトロニック社が開発したコロナ患者の生命維持に役立つ人工呼吸器を製造していた。