Manufacturing


「アパレルが軒並み海外に出ていくなかで、対極的な発想の転換でした」とリードは振り返る。最高品質のファスナーを追求してきたYKKの取り組みがここで本領を発揮する。「自動車では求められるものが非常に厳しいのですが、そうした品質や性能への高い基準は、当社のビジネスとうまくかみ合うものでした」

YKKは同時に、新たに納入先になった業界向けの機械生産やエンジニアリングサービスも拡大する。「問題点について当社の技術者と顧客側の技術者が話せるようにもしました。その結果、当社の技術者はYKKの技術が使えそうなところを見極め、当社の機械や独自のファスナーソリューションによって問題の解決を手助けできるようになりました」

浮き沈みを経験しながらも、YKKは善の巡環という精神にこだわってきた。とくに、自社の社員や社会との関係でそれを重視してきた。リードは言う。「どんな企業も、人々が集まってできている組織です。YKKは社員の強さ、しなやかさから恩恵を得てきました」

リードは今後の展望について「率直に言って、悪い材料はなく、良い材料ばかり」と述べ、YKKには力強い未来が待っていると自信を示す。そのうえで、米国の製造業との自社の関わりについてこう語っている。

「アパレルメーカーは戻ってこないかもしれませんが、それでも米国には果たせる役割があります。一例を挙げれば、医療はとてもエキサイティングな分野で、当社もすでに関わっています。それだけでなく、米国には当社の製品の用途を広げられる可能性のある分野が数多くあります。米国の製造業は大きな変化のとば口に立っています。まだその始まりにすぎませんが、当社は長らくそうした変化のただ中にありました。YKKはそのうねりに真っ先に飛び込んでいきます」

編集=江戸伸禎

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