米国のナスダックに上場するバイドゥは3月23日、香港証券取引所に上場し約236億香港ドル(約3300億円)を調達した。
しかし、アナリストはバイドゥが多くの課題を抱えていると語る。同社は、自動運転やクラウドコンピューティングなど、AI(人工知能)を活用した取り組みを進めているが、バイドゥのコアビジネスの検索エンジン広告の収益は低迷している。
広告主は、中国版TikTokのDouyin(抖音)やKuaishou(快手)などの短編動画プラットフォームに移行しているが、これは中国のネットユーザーがより多くの時間を動画に費やしているからだ。
上海の調査会社86 Researchのアナリストは、「今は短編動画の時代だが、バイドゥはこのトレンドにうまく乗り切れていない」と述べた。
一方で、バイドゥの株価は11月に発表した第3四半期決算で、自律走行やクラウドコンピューティング向けのAIソフトウェアの販売を意味する「非オンラインマーケティング部門」の売上が14%増加したことを受けて、上昇していた。
バイドゥは第4四半期にもその勢いを保ち、非オンラインマーケティング収入は前年同期比52%増の6億4500万ドル、オンライン広告を含む総収入は5%増の46億ドルに達した。そして1月には、ボルボの筆頭株主であるGeely(浙江吉利控股集団)とEV製造に向けた合弁会社を設立すると発表した。
しかし、バイドゥとGeelyの取り組みに関しては懐疑的な見方もある。
香港のKaiyuan Capitalの投資主任のBrock Silversは、「中国のEV市場は競争が激しく、資本過剰になっている」と述べ、バイドゥが香港市場での株式の売り出し価格を安く設定したのは、ある種の妥協が必要だと考えたからだと指摘した。
86 Researchの担当者によると、バイドゥは自動運転ソフトウェアの知見を蓄えており、この分野でのアドバンテージを築いているという。
しかし、中国のEVメーカーのNIOやシャオペン(Xpeng)などは、自動運転技術を他社から購入するのではなく、自社で開発したいと考えているようだ。もちろん、この市場は規模が非常に大きく、バイドゥがふさわしい顧客を見つけることは十分可能だろう。
「投資家たちはバイドゥに関してさまざまな意見を持っている」と86 Researchの担当者は述べた。同社が香港市場で投資家の関心を維持できるかどうかは、今後の動き次第になりそうだ。