ピューが今月発表した報告書によると、2020年第4四半期の時点で、失業者のうち6カ月以上無職が続いていた人の割合はアジア系米国人が46%だった。これに対し、2020年末時点での黒人の失業者全体に占める長期失業者の割合は38%、白人は35%、ヒスパニック系は34%だった。
ピューのジェシー・ベネット研究助手は報告書で、「アジア系の長期失業者が多い理由ははっきりしない」とした上で、「新型コロナウイルスの流行に伴う経済活動停止の影響が特に大きな州にアジア系が多く居住しているという事実により、部分的に説明できるかもしれない」と指摘した。
ピューによると、コロナ流行に伴う営業制限が最も長く続いた州の一つであるカリフォルニア州には2019年、アジア系米国人全体の31%が居住していた。アジア系が全米で2番目に多いニューヨーク州もまた、コロナ流行による大きな影響を受けた。米労働統計局のデータによると、同州はコロナ流行が始まって以降、全米で3番目に失業者数が多かった。
これと同時に、米国ではアジア系住民に対する暴力行為が増加している。先週にはアトランタで6人のアジア系女性が死亡する銃撃事件が発生したことで、こうした暴力犯罪に対する注目が改めて高まった。当局はこの事件について、反アジア系感情が動機だったとは結論付けていないものの、昨年のアジア系に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)の発生件数は前年比で約1.5倍に増加した。
アジア系米国人の多くは、差別の増加に加え、職場での風当たりも強まっていると訴えている。非営利団体アジア・ソサエティがまとめた2019年の報告書によると、アジア太平洋系米国人は、自分たちにとって職場での多様性や昇進、全体的な満足度や所属感といった面での状況が著しく悪化していると考えている。
アジア太平洋系米国人は他の人種と比較して、自分と似た文化的経歴を持つ企業幹部や役員などのロールモデルが非常に少ないと考えている人が非常に多い。テック企業の元幹部であるバック・ジーは、「アジア系の多様性の問題で最も大きなものは、誰もそれが問題だと分かっていないことだ」と語る。ジーは、2018年に共同執筆し、ハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した記事の中で、アジア系米国人のホワイトカラー労働者は最も管理職に昇進しにくいと指摘している。
ジーは「私たちは昇進を与えられる可能性が最も低い。それが私たちの問題であり、これについては誰も考えようとしない」と語った。