「学習レシピ2万件以上と白紙状態のAI」それぞれに、創作料理を考えさせたら──

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AIが人間の多くの職を奪うと言われて久しい。AIは、人間には到底処理しきれない量のデータを、短時間で計算、分析し、記憶する。だが、果たしてその存在は本当に汎用で、世界を凌駕する存在たりえるのか。

AIがひねり出す滑稽で奇妙な間違いや失敗をブログで紹介しているジャネル・シェインによると、AIの知性は意外にも、いまだミミズ程度なのだという。AIが学習するしくみを、キュートなイラストとともに解説したシェインの著書『おバカな答えもAIしてる』(ジャネル・シェイン著、千葉敏生訳、光文社刊)から、その驚くべき世界を覗いてみる。


英語もわからないAIがつくったケーキのレシピ


AIの頭脳は人間の頭脳と比べるとまだまだ小さく、仕事の幅が広がると、とたんに処理しきれなくなる。

たとえば、わたしは最近、AIにレシピづくりのトレーニングを行った。そのAIはレシピに使われる文章をまねるよう設定されていたが、レシピとはなんなのかも、文字が材料や作り方を指しているということも、もっといえば英語とはなんなのかさえもわからない完全に白紙の状態から学習を始めた。AIは右も左もわからないなか、必死で文字の並べ方を理解し、サンプル・レシピをまねていった。わたしが学習材料としてケーキのレシピだけを与えたところ、AIはこんなレシピを創作した。



キャロット・ケーキ(ベラ婦人)
ケーキ、酒

イエロー・ケーキの素 1パック
小麦粉 3カップ
ベーキング・パウダー 小さじ1
ベーキング・ソーダ 小さじ1と1/2
塩 小さじ1/4
粉末シナモン 小さじ1
粉末ショウガ 小さじ1
粉末クローブ 小さじ1
ベーキング・パウダー 小さじ1
塩 小さじ1/2
バニラ 小さじ1
卵(常温) 1個
砂糖 1カップ
バニラ 小さじ1
ピーカンのみじん切り 1カップ

オーブンを350度に予熱する。9インチのスプリングフォーム・パンに油をひく。

ケーキのつくり方

全体が黄色くトロッとするまで、手早く卵をかき混ぜ、置いておく。別のボウルで、卵白をかたくなるまでかき混ぜる。あらかじめ準備していたパンに、最初の混合物のようなものをすばやく入れ、生地をなめらかにする。オーブンで約40分間、または木製のつまようじを中央に刺してから抜いても何もつかなくなるまで焼く。パンのなかで10分間冷ます。金網台の上に取り出して、完全に冷ます。

パンからケーキを取り出して完全に冷ます。温かいうちに食卓へ。

HereCto Cookbook (1989) Canadian Living のKitchen & Hawnより。

分量:16人前

もちろん、完璧なレシピにはほど遠いけれど、少なくともケーキのレシピであることはわかる(つくり方をよくよく読んでみると、実は卵黄1個で卵焼きをつくっただけなのだが……)。
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