米ブルームバーグの2021年3月15日付け報道によると、バイデン政権のアドバイザーたちは現在、法人税と高所得者向けの税率を引き上げて、次の財政出動に充てる方向で準備をしている。実現すれば、1993年以来の大型増税だ。
この税制改革には、2017年に前大統領トランプが施行した減税・雇用法(トランプ減税)の一部撤回も含まれる見通しだ。
内情に詳しい人物の話としてブルームバーグが報じたところによると、バイデン政権が計画する税制改革としては、法人税率の21%から28%への引き上げ、パススルー企業(合同会社や有限責任事業組合など、法人税が課されず出資者が所得税を納める企業)に対する税優遇措置の削減、所得が40万ドルを超える個人への所得税率の引き上げ、遺産税の対象拡大、年間所得が100万ドル以上の個人に対するキャピタルゲイン税率の引き上げなどが含まれるという。
さらに、ワシントン・ポスト紙の3月15日付け報道によると、米財務省は、各国政府と協調して、これまで租税回避を行ってきた多国籍企業に対する最低限の税負担(ミニマムタックス)を求める計画も検討している。実現すれば、こちらもバイデンが掲げる野心的な政策の財源となる可能性がある。
ゴールドマン・サックスは、3月上旬の週末に出したクライアント向け書簡において、新たな財政出動には、従来型ならびに環境に配慮したインフラに対する税制上の優遇措置が含まれる見込みだと述べた。また、法人税とキャピタルゲイン税の税率引き上げも盛り込まれており、それがおよそ1兆ドル規模の新法案の財源になるだろうとしている。
こうした税制改革すべてについて、バイデンは議会からの抵抗に遭うだろう。とりわけ共和党議員は、トランプ前大統領の主要政策の一部を撤回することに反対するのは確実だ。また、与党民主党の穏健派が難色を示す可能性もある。
独立系の税制調査機関であるタックス・ファンデーションは最新分析で、法人税の税率が21%から28%に引き上げられれば、推定で15万9000人の雇用がカットされるとしている。また、増税によって、長期的には国内総生産がマイナス0.8%、賃金がマイナス0.7%になると予測している。