バイデン政権が経済対策のため成立を目指す「増税法案」の中身

ジョー・バイデン(Getty Images)


バイデン大統領が3月11日、1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス経済対策法案に署名をして成立させたことで、米連邦政府が認めた緊急経済対策は、総額で5兆4000億ドルに上った。この法案は連邦議会で可決されたが、賛成票を投じた共和党議員はひとりもいなかった。共和党議員の多くが反対理由に挙げたのが、この法案によって、連邦政府の赤字が維持不可能なレベルに膨れ上がることだ。

また、ウェストバージニア州選出の民主党穏健派上院議員ジョー・マンチンは3月上旬、米ニュースサイト「アクシオス」の取材に応え、米連邦政府がこれだけの借金を抱えれば、米国はいずれ「深刻な景気後退へと向かい、油断すれば不況に陥りかねない」と述べた。マンチンは、バイデンが提案した大規模インフラ法案について、共和党の意見が盛り込まれないのであれば賛成しないと公言している。さらに、この財政出動の財源を完全に確保するよう求めていくと述べたと、アクシオスは報じた。

景気回復がおぼつかないうちは、議会も増税しようとは考えないだろうというおおかたの予想に反し、バイデンが3月11日に署名した1兆9000億ドルの経済対策法案には、大企業と富裕層を対象にした600億ドルの増税が盛り込まれた。政治サイト「ポリティコ」は3月10日付けの記事で、民主党が税制改革に盛り込んだ項目は、パススルー企業の相殺(損失が出ても株主やパートナーの所得と相殺できるという税務上の優位性)に関する制限強化や、役員報酬に関する控除額制限の拡大、多国籍企業を対象にした支払利息計上時の柔軟性の制限など、目立ちにくくわかりにくいものであり、それが「政治的に幸いして」、あまり注目を浴びそうもなかったと述べている。

財務長官ジャネット・イエレンが2月18日、米CNBCに対して語ったところによると、バイデン政権下で成立した増税は、すべてがただちに実施されるものではない。インフラや教育などを対象にした追加財政出動を賄うための増税は、「時間をかけて少しずつ導入されるだろう」とのことだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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