以下に、この件に関して知っておくべきことをまとめた。
追加経済対策の給付金
連邦議会で可決された後、バイデン大統領が署名して3月11日に成立した1兆9000億ドルの新型コロナウイルス追加経済対策には、第3弾となる現金給付や失業保険が含まれているだけではない。たとえば、6歳未満の子どもひとりあたり、最大3600ドルに上る税額減免(tax credit、納税額の直接の減額)分を給付することも含まれている。これは、1カ月あたりに換算すると300ドルに相当する。
また、6歳から17歳までの子どもについても、これまでの税額減免はひとりあたり最大2000ドルだったが、これが3000ドルまで増額された。こちらは、1カ月あたり250ドルに相当する。ただし、この給付は、あくまでも追加経済対策にもとづく一時的なものだ。
バイデンはそれを変えたいと考えている。
児童税額減免を受けられる人は?
一般的な現金給付と同じく児童税額減免も、誰もが受けられるわけではなく、年収の制限がある。7月からは、月額に分割した減免分を受けとれるようになるが、そのためには、調整後総所得が以下の額を下回っている必要がある。
個人: 7万5000ドル
夫婦合計/夫婦合算申告者: 15万ドル
この所得制限を超えると、児童税額減免の幅が段階的に小さくなっていく。上述の額より所得が多い場合であっても、個人の所得が20万ドル未満、夫婦合計/夫婦合算申告者で40万ドル未満の場合は、2000ドルの減免を受けることができる。
「毎月の児童手当」を恒久的なものにすべき理由
バイデンは新たな児童税額減免を恒久化しようとしているが、それにはいくつかの理由がある。
・即座のキャッシュフロー: 1年分をまとめた税額減免ではなく、毎月の給付にすれば、すぐにキャッシュフローが生まれる。
・収入の保証:収入が保証される。とりわけ、経済的に困窮する低~中所得層の国民にとって、この効果は大きい。
・貧困との闘い:シンクタンクのアーバン・インスティテュートによれば、毎月の給付により、500万人を超える子どもを貧困から救える可能性があるという。
・医療:保護者が医療を利用しやすくなる。
・教育:子どもがより良い教育を受けやすくなる。
・社会的流動性:転居のために保護者が使える資金が増え、社会的流動性が向上する可能性がある。
・経済面での選択の幅:家賃や食料雑貨、育児など、生活に欠かせないものへの出費に関して、経済的な柔軟性が高まる。
・緊急時の資金:緊急用資金の貯蓄に利用できる。
児童手当を恒久化するには
議会が賛成すれば、児童税額減免を恒久化し、対象となる保護者に毎月最大300ドルを給付できるようになる。毎月の収入を保証するこの発想は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの終息まで国民に毎月2000ドルを給付するという、一部の議員が出した提案と類似している。
2020年大統領選挙の予備選に出馬し、現在はニューヨーク市長選の有力候補でもあるアンドリュー・ヤンは、大統領選の選挙活動の目玉として、ユニバーサル・ベーシックインカムを提案していた。
この案では、18歳以上の全国民が、生涯にわたって毎月1000ドルを支給される。「自由の配当(The Freedom Dividend)」と呼ばれるヤンのこの提案は、新たな児童手当と同じく、国民を貧困から救い出し、さらなる貧困に陥るのを防ぐことを意図している。