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アメリカのプロスポーツにマスクをつけずに観戦を楽しむファンの姿が戻ってきた。

理由は疑いもなく国民のワクチン接種率の高さにある。オックスフォード大学の研究者らのグループ「Our World in Data」の集計によると、1回以上接種したアメリカ国民の割合は6月10日時点で51%を超え、規定回数の接種が完了した人(2回の接種が必要なワクチンなら2回の接種を完了した人数)は42%となった。日本はそれぞれ11.5%、3.9%という状況であり、大きく後れを取っていることが数字からも明らかである。

しかし、そんなアメリカでも高齢者等への提供がひと段落した頃からワクチン接種の鈍化がみられ、若い世代での接種率も低い水準にとどまっている。民間の調査団体が3月末に発表していた世論調査でも、接種をためらう人や否定的な人が全体の37%に上っていた。

いくつかの州では接種率を高めるべくクーポンを配布するなどの対策を講じてきたが、人口の一定割合以上が免疫を持つことによって流行を防ぐ「集団免疫」を達成するために、更なるワクチン接種の促進が求められている。

バイデン大統領の「宣言」に民間事業者も連携


そのためバイデン大統領が6月2日の演説において、独立記念日の7月4日までに全国民の70%がワクチンを1回は接種することを目指す「National Month of Action」を宣言、ホワイトハウスは国内の自治体、民間事業者等と連携してワクチン接種に対する様々なサポート計画を公表した。

たとえば、国内最大級の保育事業者らと提携して無償の保育サービスを提供することで、幼い子どもを抱える保護者がワクチン接種に行きやすくしたり、ワクチン接種を実施している大手薬局チェーンでは、月内の毎週金曜日の営業時間延長という対応を行っている。

また、課題とされている若年層の接種を促進するために、全国の大学に対して「COVID-19 College Challenge」への参加を呼びかけている。大学施設内での接種を推進するべく、ワクチンに関する教材やツールキットの配布といった啓蒙活動に加え、SNSでの拡散を狙ってテキストのテンプレートやハッシュタグ、画像素材までも提供している。

ワクチン接種者にはさまざまな「特典」



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National Month of Actionではワクチン接種者が享受できる特典リストも公開されていて、様々な小売業やサービス業者がクーポンを発行したりしている。クリスピークリーム・ドーナッツが接種証明を提示した客に無料でドーナッツを提供する、バドワイザーを販売するアンハイザー・ブッシュ社が無料ビールを振る舞うなどのユニークな取り組みが話題を呼んでいる。

スポーツ界からは、NFL(米ナショナル・フットボール・リーグ)およびMLS(メジャーリーグ・サッカー)がワクチン接種者を対象に、グッズのディスカウントやスーパーボウル(NFL)あるいはオールスター(MLS)といったプレミアチケットの懸賞を行うと表明した。

そんな中、リーグをあげて大規模な企画を打ち出したのがMLB(メジャーリーグ・ベースボール)である。

MLB30球団が独自のインセンティブを企画


MLBは今月5日、“MLB Vaccinate At The Plate”というキャンペーンを実施すると発表、ワクチン未接種者に対して全30球団がそれぞれ独自にインセンティブを提供するというものだ。

各球団は6月中に最低1回は「ワクチン接種を受けると無償で観戦チケットがもらえる」というイベントを実施する予定で、それぞれが趣向を凝らしたイベントを企画している点もユニークだ。

文=中澤薫 編集=宇藤智子

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