日本女性の労働参加率は現在、過去最高の約70%となっているが、女性が就いている仕事の多くは「非正規雇用」だ。低賃金で、雇用はほとんど保障されていない。また、自称「フェミニスト首相」の安倍は、閣僚20人のうち、わずか数人しか女性を選んでいなかった。
経済学者たちの多くが、現在のコロナ禍における女性失業者の爆発的な増加を受け、「she-cession(女性の不況)」の発生を指摘している。その「最たる例」として、日本が指摘される可能性は高い。
日本は変われるか─?
女性を蔑視した森の発言が国民をさらに怒らせた要因には、菅と副総理兼財務相の麻生太郎が森を擁護し、日本と世界中の女性たちが森に説明責任を要求するほどの怒りを訴えるまで、この問題を直視しようとしなかったこともある。
何十年間にもわたって性差別的な発言を繰り返してきた「実績」のある森が、この問題に関する日本の流れを変えたとすれば、奇妙な話だ。森は女性の対立候補に苦戦を強いられた2009年の選挙で、その女性が候補になれた理由は「若くてスタイルが良いことだけ」と主張。同候補の「性的魅力に魅了されてはいけない」と有権者に警告した。
東京五輪・パラリンピックを巡る大きな問題の一つには、延期に伴う追加によって大きく膨れ上がった開催費用がある。だが、これが森を辞任に追い込み、ようやく日本がジェンダー平等の問題を真剣に考えるきっかけになったのだとすれば、無駄な金ではなかったといえるのかもしれない。