ビジネス

2021.03.21

「これはシークレットではない」というグーグルの詭弁

Ali Balikci / Anadolu Agency / Getty Images


わたしたちの大多数は業界のインサイダーではないし、そうなりたいとも思っていない。わたしたちは一介のユーザーであり、そうした人が使う製品の説明や名前はわかりやすいものであるべきだ。

言葉の定義を変え、ユーザーを混乱させることで直接利益を得られるのが、当の企業だとすれば、ますますたちが悪い。筆者は長年、自分の学生たちに、シークレットモードすれば貪欲な企業から閲覧記録を隠せるという誤った思い込みは捨てるようにと、言い続けざるを得なくなっている。

フェイスブックも、ユーザーがアップロードした写真は、非公開にしたかどうかにかかわらず、すべて機械学習のアルゴリズムに解析させるとしている。細かい情報を特定して、広告主に販売するのだという。このようなばかげたプライバシーの定義を、どうして受け入れることができるだろう。これはプライバシーとはまるきり反対のもの、あるいはプライバシーをぎりぎりのところまで「再定義」しようとするものなのではないか。

運転手がまだ万全の注意を払う必要がある運転支援機能をまとめたものを、「オートパイロット」などと呼んでいるのも同様だ。

統計学者のエドワード・タフティは、「顧客のことをユーザーと呼ぶ業界は2つしかない。麻薬業界とソフトウェア業界だ」といみじくも述べている。リーダーシップという観点から言えば、ビッグテックがやっていることとはそろそろ手を切るべき時期かもしれない。製品に関してミスリーディングな言葉を意図的に用いて、人々に誤った期待をいだかせるのをやめ、もう少しだけ敬意をもって顧客を遇する。企業にはいま、そうした転換が求められているのではないか。

編集=江戸伸禎

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