カトリック教会の「偽善」 エルトン・ジョンが皮肉で痛烈批判

歌手 エルトン・ジョン(Getty Images)

バチカン(ローマ教皇庁)の親しみやすい「顔」であるフランシスコ教皇は、これまでLGBTQ(性的少数者)について進歩的な姿勢をにおわせる発言を繰り返してきた。そのため、ローマ・カトリック教会がこのたび、同性カップルについて後進的な見解を固持していることを改めて示したことには、衝撃が広がっている。

バチカン教理省は15日、「カトリック教会は、同性同士の人々の関係を祝福する権限がありますか?」との質問に対し、神が「罪を祝福する」ことは「不可能」だと回答した。

ツイッターでは複数の著名人らが、カトリック教会の凝り固まった愛の定義に対する落胆を表明したが、中でも最も痛烈なツイートをしたのは歌手のエルトン・ジョンだった。

ジョンは「バチカンは同性婚が『罪だ』という理由で祝福を拒否しているのに、私がデービッドとの結婚で幸せをみつけたことを描いた映画『ロケットマン』にすすんで数百万ドルを投資し利益を上げられるのはどういうわけだ?」とツイート。最後には「hypocrisy(偽善)」のハッシュタグを添えた。

『ロケットマン』は、大手映画会社の作品として初めて男性同士のセックスシーンを描写した映画だとされている。英紙フィナンシャル・タイムズによると、バチカン国務省は同作に資金を提供していた。

伊主要紙コリエーレ・デラ・セラは、バチカン国務省は同作に加えて『メン・イン・ブラック』にも資金提供していたと報道。『ロケットマン』への投資額は100万ユーロ(約1億3000万円)以上とも伝えられている。

カトリック教会は『ロケットマン』から利益を得ることは「罪」だと考えていないのに、どういうわけだか同性カップルの祝福は「不可能だ」と考えている。これは筋が通らないことだ。

エルトン・ジョンのおかげで、バチカンのばかげた偽善に関心が向けられた。カトリック教会の行為は、搾取的なビジネス慣行から周囲の目をそらすために進歩的な言葉を使う悪徳企業に類似したものだ。

フランシスコ教皇から時々好意的な言葉があるだけでは不十分だ。悲しいことに、カトリック教会の頑固で不寛容な姿勢は、世界中で実際に影響を生んでいる。

フランシスコ教皇がバチカン国務省に見習って、性的アイデンティティーを超えた考え方ができるようになればよいと思う。金は人の良し悪しを判断したりはしないものだ。

編集=遠藤宗生

ForbesBrandVoice

人気記事