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2021.03.19

AI融資のフィンテック米Upstartが株価急騰、自動車ローンに進出へ

Upstartのデイブ・ジルアードCEO(Getty Images)

個人向け融資を行うシリコンバレーのフィンテック企業「Upstart(アップスタート)」の株価は、アナリスト予想を大幅に上回る好決算を受けて、3月18日の市場で急上昇し、共同創業者でCEOのデイブ・ジルアードは、ビリオネアの仲間入りを果たした。

Upstartは貸し出しリスクの査定にAI(人工知能)を用いて、パンデミック中で業績を拡大し、昨年12月にIPOに行い、上場初日の時価総額は22億ドルに達していた。

18日の市場で、Upstartの株価は89%の急騰となった。2012年に同社を設立した現在54歳のジルアードの現在の保有資産を、フォーブスは13億ドルと推定している。

カリフォルニア州サンマテオ本拠の同社は17日の取引終了後に、アナリスト平均予想を3倍近く上回る第4四半期の売上を報告した。2020年通期の売上は、前年比42%増の2億3300万ドルだった。Upstartの時価総額は現在83億ドル(約9050億円)に達している。

ジルアードは17日、Upstartが自動車のオンライン販売プラットフォームのProdigy Softwareを買収し、自動車ローン市場に参入すると発表した。

「アマゾンやShopifyがオンラインショッピングを近代化する一方で、自動車業界は取り残されている。当社はProdigy社の協力を得て、2021年にふさわしいエクスペリエンスを提供していく」とジルアードは述べた。

ジルアードは昨年12月のIPOの直後に、「自動車ローンには多くの非効率性があると考えている。人々は自動車ローンにあまりにも多くの費用を費やしている」と述べていた。

Upstartは、1000ドルから5万ドルのローンを7%から36%の金利で提供しており、この金利はSoFiやUpgrade、LendingClubなどの他のフィンテック企業と同じ水準だ。しかし、Upstartは、他の金融期間が採用する信用スコアのFICOではなく、AIの分析結果や学歴・職歴などのデータを用いて、信用力を評価し、累計90億ドル以上を貸し出している。

グーグルの元幹部であるジルアードは、ダートマス大学を卒業後、アクセンチュアに勤務した後、ミシガン大学でMBAを取得した。その後、1994年にシリコンバレーで最初の務め先であるアップルに入社した彼は、2004年にグーグルに入社した。ジルアードは、後にグーグルクラウドとなる部門の立ち上げに携わった。

「当社は、将来的にほぼすべての融資がAIによって行われるようになると考えており、当社のパートナーである銀行を、その変革に向けて手助けしている」と、ジルアードは述べた。

編集=上田裕資

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