新たな変異株の出現、感染拡大で可能性はさらに高まる

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仏保健省は3月15日、北西部ブルターニュ地方ランニオンの病院で、新型コロナウイルスの新たな変異株が確認されたと発表した。この病院では79人が感染するクラスターが発生。感染者から採取した検体の遺伝子配列を解析したところ、新しい変異株であることが判明した。

感染者79人のうち、この「ブルターニュ変異株」への感染が確認された8人は、いずれも新型コロナウイルス感染症の典型的な症状があったにもかかわらず、当初行ったPCR検査では陰性だった。血液サンプルと呼吸器系の組織の分析を行い、感染を確認したという。8人はその後、全員が死亡している。

予備調査の結果では、この新たな変異株がすでに確認されているその他の変異株よりも感染力が強いことや、重症化のリスクが高いことなどは示されていない。だが、確実に判断するためには、さらなる調査が必要だ。ワクチン接種や過去の感染によって作られた抗体にどのように反応するかについても、調査が行われている。

進化し続けるウイルス


この新たな変異株について注目すべき点は、新型コロナウイルスがこれまで使用されてきたPCR検査を「すり抜けるような」進化を遂げている可能性があるということだ。フィンランドでも2月、少なくとも1種類の標準的なPCR検査で検出できなかった変異株が確認されている。

欧州各国では感染者、入院者数が再び急増している。その一因となっているのが、より感染力が強い「英国型(B.1.1.7)」変異株だ。英国型の変異株は、欧州大陸全体で優勢になっているとみられる。

ウイルスに新たな変異株が出現するのは、驚くことではない。変異は至る所で起きており、今後も新たな変異株は現れ続ける。新型コロナウイルスも生き残るために、進化を続ける必要があるからだ。

そして、変異にはそれほど害がないものも、より厄介なものもある。そのため研究者たちは、変異株が新たに出現するたびに、その感染力や重症化リスク、ワクチンの有効性について、調査しなければならない。さらに、その新たな変異株を見逃さないため、検査方法の評価・調整も行う必要がある。
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編集=木内涼子

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