世界の「KonMari」を創った天才プロデューサーの次なる挑戦

Photo by Takuya Sogawa


決して順風満帆ではなかった米国市場での挑戦



Photo 本人提供

国内で妻・近藤麻理恵の書籍がミリオンセラーを達成した後、川原らはアメリカからの出版依頼とともにビジネスの舞台をアメリカに移した。

しかし最初に渡米した先のシリコンバレーで開始したアプリ事業がうまく機能しなかった。自分たちが本来追求したい「片付けを通じて人生がときめく人を増やす」事ではなくビジネスとしての成長に偏向したことが一つの要因だった。

川原は「Organize the World(世界を片付ける)」というコンセプトを立ち上げNetflix出演の話とともにエンターテイメントの聖地ロサンゼルスへ活動の拠点を移したした。

ロサンゼルスでの仕事も順風満帆だったわけではない、エミー賞にノミネートされたNetflixでも最初の交渉はKonMariブランドを守るべく1年を超えて交渉を続けた。それでも彼を突き動かしたのは妻・近藤麻理恵の言葉。

「まりえさんが100%信頼してくれたからこそ最後までやり抜けた。自分たちには無名だったころから原点がある。志もある。大事にしたい哲学もある。すべてを失ったらまた0から努力すればいい」

その信念が2人をハリウッドのレッドカーペットまで導いたのだろう。

こんまりメソッドを活用して日本の魅力を世界へ伝える



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コロナでNetflixの撮影が止まり空いた時間にふと振り返ると、アメリカの資本主義社会でビジネスの世界を生き抜いた川原に自分の想像を超える経験と実績がついていた。

そして、もともと政治家を目指していた川原の心にこんまりメソッドで培ったスキルと経験をいかして、日本の魅力の再定義し、そして世界の平和のために役立てたい強い熱い思いがこみあげてきた。

「日本にはこんまりメソッドのように世界に受け入れられる魅力や価値がたくさんあります。アメリカでの経験を通じて再確認しました。これからは日本の魅力を再定義し世界がサステナブルな社会になり平和に貢献できるような事業をプロデュースしていきたい」

「卓巳さんにはもっともっと大きな役割がある」は妻、近藤麻理恵の言葉だ。筆者も同じ気持ちでいる。川原は本来持っている繊細さ、愛情深さと人材教育企業で5000人以上のキャリア・コンサルティングで培った人の本質的な長所を見抜く力がある。

さらにアメリカではビジネスの本質と自分らしく生きることの重要性を学んだ。
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文=齋藤潤一 写真= Takuya Sogawa

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