SKグループの広報担当者は声明で「当社は、革新的な技術に基づくプレミアムワクチンの開発戦略を追求しつつ、国内市場でのリーダーシップを強化し、グローバル市場に進出するためのキャパシティを構築した」と述べた。
韓国のビリオネアのチェ・テウォンが率いるSKグループは、通信や化学、メモリーチップ、電気自動車用バッテリーなどの事業で知られている。SKバイオサイエンスのIPOは、同グループが、さらに別のホットな領域に事業を拡大するための試みだ。
SKグループは、主に買収や投資によってバイオテック領域の事業を拡大した。同グループの広報担当者は、2001年の韓国のドンシン製薬の買収や、その4年後のワクチンの研究開発に向けた合弁会社の設立、2012年のワクチンセンターの建設が、SKバイオサイエンスの成長の基盤になったと述べている。
サムスン、ヒュンダイに次ぐ韓国第3位の売上高を誇る財閥であるSKグループは、昨年7月にバイオテクノロジー分野の子会社のSKバイオファーマシューティカルズを上場させ、医療分野での比重を高めた。同社は8億ドルを調達し、株価はデビュー時に30%急騰した。
今回のSKバイオサイエンスの上場は、同社がアストラゼネカとノババックスが開発した新型コロナウイルスワクチンの韓国での製造を受託したことを受けてのものだ。SKバイオサイエンスは昨年11月、自社開発の新型コロナワクチンの臨床試験を開始する認可を規制当局から受けていた。
「投資家は、SKバイオサイエンスが世界的な製薬会社とワクチン製造の契約を結んだことで、IPOを待ち望んでいた」と、ソウルの調査会社InformaのアナリストのJung Won Shinは述べている。ShinはSKバイオサイエンスが韓国におけるワクチンの「主要ディストリビューター」であると述べ、その地位がIPOで「ポジティブな要因」になるとした。
サムスンのバイオ子会社も2016年に上場
ワシントンのデータ・メディア企業FiscalNoteのCEOのTimothy Hwangは、「SKグループのような規模のコングロマリットは、事業部門間で人材や販売チャネルを共有することで、製薬会社を含む新しい子会社を育てることが可能だ」と述べている。
世界の医薬品製造市場は、2019年に3240億ドル規模に達しており、2020年から2027年にかけて13.74%のCAGR(年平均成長率)で成長すると、市場分析会社Grand View Research社は予測している。
韓国最大のコングロマリットであるサムスンは、今から10年以上前にバイオ医薬品事業が将来の成長エンジン5つのうちの1つになると述べていた。同社の医薬品受託製造部門のサムスン・バイオロジックスは、2016年に韓国取引所に上場していた。