16日に発表されたこの調査によると、合計で6300億ドル(約69兆円)の資産を運用するファンドマネジャー220人のうち、37%がインフレを投資家にとって最大の「テールリスク」に挙げた。インフレが選ばれたのは1年あまりぶりで、これまでは新型コロナ危機がトップだった。
次は、2013年に米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和縮小観測をめぐる市場の混乱によって起きた「テーパー・タントラム」のような長期金利の急騰(35%)だった。
向こう1年でインフレが加速すると見込む人は93%にのぼっている。
調査では、こうしたインフレ懸念から、リスクの高いテクノロジー株へのエクスポージャーが15年ぶりの大幅な落ち込みとなっていることも判明。半面、コモディティーへの配分は過去最高の水準に達している。
ただ、こうしたリスクにもかかわらず、投資家のセンチメントはなお「まぎれもなく強気」であることも明らかになった。全体の91%は景気回復ペースが速まると予想しており、半数近くは世界市場のV字回復を見込んでいる。
米国では数兆ドル規模の新型コロナ経済対策に後押しされて経済が回復に向かう一方、ウォール街ではこうした巨額の財政出動による債務の膨張や急激なインフレをめぐる懸念に拍車がかかっている。投資家はジェローム・パウエル議長率いるFRBの動きを注視しているが、当面は利上げはしないとみている。
米オアンダのシニア・マーケットアナリスト、エドワード・モヤは15日のリポートで、パウエルはインフレが加速する可能性のある夏場までは、懸念を抑えることができるとの見方を示した。