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2021.03.19 18:00

ミニ発表のコンセプトモデルはニューノーマルを見据えたミニバン

コンセプトカーは、未来の生活におけるクルマのあり方を具体的に示す。そこにはメーカーが考える方向性が如実にあらわれている。


Mini Vision Urbanaut


ミニが発表したコンセプトモデル「ビジョン・アーバノート Vision Urbanaut」は、一見、ミニバンのバリエーションだ。それは当たっているとも、外れているともいえる。なぜなら「ニューノーマル」の時代を見据えたミニバンだからだ。

従来からあるデザインに新しい意味を与えた点が、最大の注目点。発想の勝利ともいえるプロダクトだ。

ニューノーマルとは、個の移動が重要視される時代である。もともとミニバンは大勢でわいわいと車内にいる時間も楽しめるのが目的だったが、ビジョン・アーバノートは従来通りのミニバンに見えて、発想は逆。余裕ある車内空間を個室のように使う。それがビジョン・アーバノートの提案だ。

車名はアーバン(都市)とノート(乗組員)からなる造語だろう。全長4.5mと比較的コンパクトなサイズの電気自動車であるビジョン・アーバノートは、「公共の場所に個の空間をもちこめる」モデルだと、ミニを含めたBMWグループのデザインを統括するアドリアン・フォン・ホーイドンクは語っている。

ドライバーでなく乗組員、ということからもわかるように、クルマを超えたクルマである。外出もままならない時代は、私たちにとって未体験だった。そこにあって、クルマのデザインも、変わってしかるべき。そこからの発想だ。

「デイベッド」となる運転席、開閉機能をもたせたウィンドシールドにより駐車して景色を楽しめる「ストリートバルコニー」、そして照明も工夫されリラックスできる後席の「コージーコーナー」。停車時にはフロントウインドウが上に向けて開き、外にいる家族や友人と車内から会話することができる。移動する部屋だ。

クルマのメーカーはこれまで、スポーツカーやSUVで、私たちの生活様式に大きな影響を与えてきた。「ビジョン・アーバノート」は、デザインやマーケティングで蓄積してきた知見をフルに生かしたという点で、実にコンセプチュアル。つまり考えぬかれたモデルなのだ。

text by Fumio Ogawa | edit by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.078 2021年2月号(2020/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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