航続距離は400km超え。脱炭素化を考え抜いたコンセプトと性能の両立を目指す

Audi e-tron GT concept

Audi e-tron GT concept


アウディで感心するのは”電気化”の定義がとても広いことだ。車両づくりだけでなく、企業全体での取り組みにまで幅広く及ぶ。

EV開発としては、日本でも2020年秋にフル電動の「アウディe-tron(イートロン)スポーツバック」が発売され、スポーティな走りに驚かされた。いま登場が待たれるのが、「e-tron GT」。電気の力をフルに利用した、「4ドアスポーツカー」だ。いまはコンセプトモデルだが、近い将来、実車がお目見えするだろう。

同じグループ企業であるポルシェのEV「タイカン」は、電気で走る911ともいうべき胸のすくドライブを体験させてくれる。そこから推測するに、「e-tron GT」も、4ドアスポーツカーというジャンルにおけるパイオニアのひとつになることは容易に想像できる。
 
アウディでは、ただし、温室効果ガスを抑制するため、排ガスを出さない電気自動車を作っただけで、環境問題にケリをつけるつもりはないようだ。20年の11月には「脱炭素化」への取り組みをオンラインで発表している。

「2025年には、ライフスタイル全体でのCO2排出量を2015年を基準として30パーセント減らす目標です」

本社のボードメンバーで、生産及びロジスティックを担当するペーター・ケスラー氏は、上記のように語った。
 
具体的な方策にはサプライチェーン全体に及ぶ観点が盛り込まれており、車体の軽量化(つまり省燃費化)に効果のあるアルミニウムや合成樹脂はリサイクル部品を使い製造過程の電気使用量を減らすこと、生産工場は自然エネルギーをメインとすること、完成車の輸送には(主にドイツ国内では)環境対応の列車を使うことなどが含まれている。

e-tron GTの航続距離は400km超え。その一方で、静止から時速100kmまで加速するのに要する時間は3.5秒以下といわれる。脱炭素化を考え抜いたコンセプトと性能の両立を目指す。


Audi e-tron GT concept◎アウディの高性能車部門であるアウディ・スポーツが開発。2020年10月には、同年末から「e-tron GT」の生産を開始することを発表。トータル最大出力は590hp。非接触充電にも対応するなど最先端の技術を盛り込む。

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この記事は 「Forbes JAPAN No.078 2021年2月号(2020/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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