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2021.03.21

大麻のベーピング、若者の肺損傷の症状はたばこより多い可能性

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トロント・ウェスタン病院の呼吸器科医マシュー・スタンブルックはフォーブスに対し、同研究は大麻の吸引が安全だという考えを消し去っている点で有益だと考えていると説明した。

「私たちは、大麻のベーピングが健康に与える影響についてはほぼ全く理解していない。これは一般的に安全だと思われているが、それは真実ではない」とスタンブルック。

とはいえスタンブルックは、この研究は少し誤解を招くものだと指摘している。

スタンブルックはフォーブスに対し「この研究の問題点は、研究者らが人々のデータをある一つの時期のみから取っていることだ。これには、偏りが生じる可能性が多いにある」と述べた。スタンブルックによると、同研究では1年以上前の症状について尋ねているため「思い出しバイアス(過去の出来事の思い出しやすさによって生じる全体的な結果のずれ)」が生じている可能性も非常に高い。

さらにスタンブルックは、参加者はこれまで大麻をベーピングしたことがあるかと尋ねられていたのに対し、喫煙や電子たばこの使用経験については尋ねられていない点も指摘している。

スタンブルックは「これは公正を欠いた比較だ。いずれの場合も、こうしたものにさらされていれば(症状が)出てくるだろう」と述べ、生涯の使用状況が考慮されていたならば全ての吸引方法が肺障害の症状に結びついたことが分かったはずだ、と述べた。

ボイドは、この研究結果はニコチンのベーピングやたばこ・大麻の燃焼による吸引が体に悪くないことを示しているのではない、と慎重に指摘した。前述の吸引方法は全て、複数の呼吸器系の病気やがんのリスク上昇と関連している。

ボイドは発表で「要するに、どれも悪いもの」と述べ、「たばこや電子たばこは間違いなく健康に悪く、肺には良くない」と続けた。

ベーピング機器は大麻の消費方法として人気がますます高まっていて、「EVALI(電子たばこ・ベーピング製品の使用に関連する肺損傷)」と呼ばれる新しい肺疾患を含め、複数の肺の病気と関連性があるとされてきた。

米疾病対策センター(CDC)は、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含むイーリキッド(電子たばこ内で使われる液体)の中で添加物として使われていたビタミンEアセテートが、ベーピング による肺損傷に関連していることを突き止めている。

2020年2月時点では、米29州と首都ワシントンでEVALIによる死亡例が68件確認されていた。

翻訳・編集=出田静

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