ゴールドマン・サックスは、「黒人女性が何世代にもわたって直面してきた、性別と人種という2つの不当な偏見は、パンデミックによってさらに顕在化している」として、今回のイニシアチブを通じて問題解決にあたる姿勢を示した。
同社は、雇用創出や住宅、ヘルスケア、教育、資本へのアクセスのための投資を通じて、2030年までに100万人の黒人女性を支援することを目標に掲げた。
加えて同社は、黒人女性を対象とした慈善活動の支援に1億ドルを確保するとしている。
こうした動きの背景には、ウォール街が長年にわたって白人男性に支配されてきた業界だという事実がある。金融業界は近年、多様性推進に関する実績を厳しく問われている。
2020年夏、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドが警察官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに抗議運動が起こって以来、こうした監視の圧力は強まっている。米国の銀行はこれまで、黒人を中心とした低所得者層への投資を拒む「レッドライニング」のような、現在は違法となった経営方針を長年にわたって維持し、不平等を助長してきた。
注目すべき取り組みはほかにもある。ゴールドマン・サックス以外の米国の大手銀行も、ここ1年のあいだに、人種的不平等の解消に向けて数十億ドル規模の投資を約束してきた。数々の研究により、新型コロナウイルスのパンデミックとそれに伴う不況によってもっとも深刻な打撃を受けたのはマイノリティ集団であると示されたことも、こうした取り組みを後押しした。