Spotify、ポッドキャストの台頭で追い風の音声広告 日本ならではの強みは

デジタル音声広告が今後広がりを見せるかもしれない(GettyImages)


そもそも音声コンテンツは、国土の広い国で発展する傾向にあるという。アメリカやヨーロッパなど大陸文化圏は、移動中の車内でオーディオを聞く習慣があるが、日本ではこのような習慣がそれほど浸透していない。また、大陸を超えて英語圏の国で聞かれるコンテンツは、日本ではあまり聞かれない。この2点が日本で音声コンテンツがまだ浸透していない要因だと八木は語る。

一方で、今後「日本ならではの使われ方」も生まれてくるのではないかと指摘する。

「日本は漫画やアニメが強いので、そういったコンテンツがこれから増えてくるのではないかと考えられます。Spotifyのオリジナルポッドキャストのランキング1位はアニメ『呪術廻戦』という番組の裏話などを聞けるものです。声優文化が海外よりも強いので、そういったコンテンツがさらに発展しそうだと思います」

呪術廻戦
じゅじゅトーク
Spotifyポッドキャストランキング 3月11日更新(オトナル作成)

拡大を続ける音声広告市場。昨年11月には、GoogleがYouTubeでの音声広告をベータ版として開始した。動画を「見る」はずのプラットフォームに、「聞く」メインの広告とはどういうことか。

Googleの発表によると、YouTubeでミュージックビデオを再生する人は月間20億人ほどで、このうちの15%は画面を見ずに動画を流しているのだという。

AirPodsやスマートスピーカーの普及により音声が生活に入り込む環境は整い、それと並行してAppleやAmazonといった企業は音声コンテンツ市場に本格参入を始めている。欧米での盛り上がりに追いつきつつある日本。今後の展望について八木はこう語った。

「我々は全方位的にデジタル音声広告市場を作るのが最終命題です。僕らだけが音声広告をやるのでは意味がないので、成功パターンをつくっていくこと。海外のように動画やバナーと同じように、音声広告を出稿するのは当たり前、という風にしたい。そのためには出稿主がいろいろな媒体を選べる状態にすることと、効果をしっかり測れるように整備することです」

音声広告は、他媒体の広告と比べて広告CM制作の工数や費用が少ない。そのため、これまで広告出稿を行ってこなかった企業や個人が利用できる、新たな手段になり得るかもしれない。

文=河村優

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