テニスの競技用シューズの開発にあたっては、ランニングシューズとして存在感を増すOn独自のテクノロジーを採用し、直線運動用のノウハウを、横方向に力がかかるテニスへと適応させた。
ベルンハルドは、「テニスプレーヤーが横方向に移動するとき、シューズには最大で体重の3倍もの負荷がかかる」と指摘する。「そうした高い負荷に対応するには、かなりの敏捷性と安定性が必要だ。それを生み出すために、私たちはフェデラーと協力して開発に励んだ」。
Onによれば、THE ROGER Proのミッドソールには、高密度で高性能なフォームと、足をあるべき位置に保つためのミッドフットケージが使われている。ソールが丸くカーブしているのは、フェデラーがコートで流れるように動けるようサポートするためだ。ほかのTHE ROGERモデルと同様、ミッドソールとアッパーのあいだには、On独自の100%カーボンファイバー製プレート「Speedboard」が入っており、エネルギーリターンを高め、着地の衝撃を吸収する。
The ROGER Proのコンセプトはもともと、THE ROGERシリーズ全モデルに取り入れられている初期テクノロジーのインスピレーションの源だった。Onは現在、55カ国で7000店を展開しているが、The ROGER Proは「フェデラーが求める条件に合わせてスイスでデザインされた独自モデルであるため、一般販売は行っていない」という。
とはいえ、ベルンハルドは思わせぶりに、その方針がずっと変わらないわけではないとも話す。「Onとフェデラーは常に協力して次世代のOnシューズに取り組んでいる。今後に注目してほしい」
The ROGER Pro初の白とブルーが配色されたシューズを土台に、今後もいろいろなモデルが期待できるだろう。公式サイトに掲載された写真を見ると、白とブルーを組み合わせたほかのモデルも発表される可能性がありそうだ。また、白とオレンジ色のデザインはすでに完成しており、あとはフェデラーが履くだけとなっている。