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2021.03.24 16:00

働きたい会社ランキング1位受賞・HubSpotのCPO(最高人材責任者)が語る「愛される企業文化」のつくり方

HubSpot 最高人材責任者(CPO) ケイティ・バーク

最善を尽くして顧客の要望に応えるために、しばしば社員がオーバーワーク状態となり、疲弊やストレスが溜まっていく……。このような話は珍しくないはずだ。顧客体験は社員によってもたらされる。社員が心身共にベストであるほど顧客体験の質が高まるのは言うまでもない。

顧客関係管理(CRM)プラットフォームを提供するHubSpotは、顧客中心主義を基盤とするビジネス展開で躍進を続ける企業である一方で、働き方においては社員中心主義を貫く企業としても知られている。企業レビューサイト「Glassdoor」では2020年働きたい会社のNo1に選ばれ、Fortune.comをはじめとしたビジネス媒体でも「女性が働きやすい職場」のベスト10にランクインしている。

現在東京を含む世界11箇所に拠点を置き、社員数は4,000名を超える大企業が、顧客にも社員にも「愛される」企業となる秘訣とは? HubSpotの最高人材責任者(CPO)であるケイティ・バークに、彼女の役割とともに、顧客満足向上という観点から展開する従業員満足、そしてダイバーシティの重要性について話を聞いた。


社員を企業の財産と考える人材部門とCPOの役割


欧米では、社員を「労働力」としてではなく企業の重要な「資源」であり「財産」と捉える概念が広がってきており、多くの企業は人的資源に特化した専門部門を設けている。HubSpotには9つのチームによって構成された人材オペレーション部門があり、これをリードし人材戦略を展開するのがバークの役割である。バークは14年、HubSpotの株式上場に向けて企業文化に関連する戦略を担当するため人材チームに異動し、その2年後の2017年からCPOを務めている。教師資格を保持するほか、キャリアの初期にはPRやマーケティングの領域で活躍してきたバークは自分自身を「遅咲きのHR人材」と表現する。しかし伝統的なキャリアパスを辿ってこなかったからこそ変化の激しい成長企業のCPOに最適な人物であるとも言えるだろう。

「私の組織は、コアHR(ヒューマン・リソース)、リクルーティング、人材分析、ラーニング&デベロプメント、カルチャー、雇用者ブランド、社内コミュニケーション、戦略的プロジェクト、ダイバーシティ&インクルージョンの9つのチームで構成されています。人々を惹きつけ、最高のパフォーマンスを発揮できるように社員をサポートし、結果的にHubSpotの成長の支えとなることを使命としています。

私のアプローチは、「社員の体験」がどのようにあるべきかというビジョンを設定し、会社としてそれを実現するための体制を整えるというものです。社員の能力や可能性を最大限に伸ばせる環境をつくっていくことが私の役割ですね」

社員採用、評価、成長支援の基準となるHubSpotの企業文化とは


HubSpotでは定期的に社員を讃える機会を設けており、成果を上げた社員を大きく表彰する。重要なのは、この評価は数字に見える成果だけではなく、「謙虚さ(Humble)」「共感性(Empathetic)」「柔軟性(Adaptable)」「卓越した長所(Remarkable)」そして「透明性(Transparent)」という5つの価値基準「(頭文字をとって)HEART」が基準となっている点だ。これらの価値基準はHubSpotの企業文化にも深くつながっている。

「企業文化に基づいて社員を評価し讃えることは非常に重要です。HubSpotでは自社の企業文化の理想像を言語化し、『カルチャーコード』という行動指針としてまとめています。カルチャーコードは共同創業者であるダーメッシュとブライアンが何百時間もかけて社員と話し合い、フィードバックを得た結果生まれました。これは私たちのマニフェストであり、社員ハンドブックであり、顧客中心主義の企業としての現状と理想の両方を反映したものでもあります」

会社が作成し、社員が受け止める一方通行のスローガンではなく、社員の思いをしっかりと反映して明文化されたHubSpotの企業文化。だからこそ企業と社員が顧客第一の価値観や信条を共有し、ブレずに体現できる。社員にとって魅力的かつ愛着のもてる企業文化が醸成されていくのだ。

バークはパンデミックのさなかにあったエピソードの1つを教えてくれた。

「コロナ禍のなか、家族と離れ離れで辛い状況にいらっしゃったあるヨーロッパのお客様から、『HubSpotのサポートチームからお花とカードが届きました。スタッフが本当に温かい心のもち主ばかりだから、私はHubSpotを選んだのです』という感謝の言葉をいただきました。お客様の声を経営幹部が直接伺う定例ミーティングでこの話を聞いて、私はとても嬉しく思いました。企業文化はお客様にも影響を与えるのだと再確認できた瞬間でした」

驚くべきは、規模を拡大し国境を超えて成長してもHubSpotは企業文化を共有し続けている点である。その成功のカギは地域による違いを受け入れることにあるようだ。


HubSpotの米国ケンブリッジオフィス

「各オフィスは本社との双子ではなく、兄弟姉妹だと思っています。異なる地域のオフィスに本社の企業文化を単純にコピー&ペーストすることにこだわると、グローバルな豊かさを失ってしまうことになります。全オフィスは同じDNAをもつ必要がありますが、積極的に違いを奨励し、その地域のリーダーシップや伝統を称えるように心がけています。そうすることで、どのオフィスも能力を最大限に伸ばすことができると考えています」

ダブリンや東京のオフィスはベルリンやポーツマスとは異なった個性を見せ、それぞれの方法でカルチャー・コードや会社の価値基準である「HEART」にコミットするのだ。

具体的な「個性」の例として、バークは異なるオフィスの社員と自身との打ち合わせの経験を挙げる。ダブリンの社員が一般的に「自分と相手について語ること」が大好きで、会議のなかでそれぞれの生い立ちや家族にまで会話が及ぶことが多々ある一方、日本の社員は相手の時間を無駄にしないようにという配慮からすぐに仕事の本題に入ることが多いと感じるという。

「上に挙げたダブリンと東京、どちらの文化も素晴らしいのです。そのうえで、例えば欧米に比べてコメントや質問が積極的に飛び交う慣習がない日本の社員も全社会議で発言がしやすいように、予め個別に『質問があったら気軽に聞いてくださいね』というメッセージを送っておいたり、会議のなかで参加社員の名前やエピソードに意識的に触れることで対話を促したりといった工夫を会社として行うことが大切だと考えています」

企業の「透明性」が社員との信頼を築き、社員の成長支援につながる


HubSpotはカルチャーコードをスライドにまとめて外部公開しており、当該スライドは今日に至るまで世界中で何百万回と閲覧されている。もともとは社内用だったが、企業文化の核の1つである「透明性(Transparency)」を大切にするために、外部共有を決めたという。バークは「透明性」が結果的に企業と社員の信頼関係を強化し、社員そして企業の成長へとつながる、と語る。

「『伝統的なマーケティングは変わった』という確信からHubSpotは生まれたので、創立当初は自社の失敗や成功を過程も含めてすべてブログで共有することに多くの時間を投資していました。その結果、情報を明らかにし共有することがHubSpotの文化に刻まれています。

一例として、HubSpotでは年に1度、リーダーシップチームが日常業務から離れ、長期的な計画や成長に対する支援、および今後の見通しについて綿密に話し合う『オフサイトミーティング』に参加するのですが、そこで議論されたことは全社員に対して明確に報告しています。これにより誰もが、自分の日々の業務が企業ミッションの重要な一部であることを具体的なトピックを通じて把握できるのです。企業と社員がひとつにつながっていると感じることで信頼関係と絆は強まるのだと思います」

透明性を維持し信頼関係を向上するためにHubSpotが行うもうひとつの画期的なアクティビティは、失敗談を共有し合うフォーラムである。企業と社員がともに失敗を認め、励まし合い、助け合う。失敗から学び、成長する。バークもここで失敗を共有している。

「私がこのフォーラムで共有した失敗の一例は、HubSpotの日本進出にあたり、採用担当者1人あたりが1カ月間で採用できる社員の人数を、アメリカにおける採用活動の実績をもとに想定したときのことです。日本はアメリカのように転職が当たり前の習慣がないため、計画通りに採用が進みませんでした。日米の就職環境の違いは認識していたのですが、リサーチ不足でその違いを戦略上の数字に反映していなかったのです。アメリカの当たり前をグローバルに無意識にもち込むことの危険性、間違いを認め、助けを求める重要性を学びました。各チームが軌道修正できるように支えてくれたことは、かけがえのない経験です」

信頼関係を築き上げるなか、バークはHubSpotの企業文化のもうひとつの柱である「共感(Empathy)」をもってリードすることを心がけている。

「組織のメンバーが困難に直面したとき、私がそれを即解決できるとは限りませんが、耳を傾け共感することはできます。理解を示すことが相手の心の支えとなり、パワーとなります。20年に起きたパンデミックの際、HubSpotでは毎週従業員が経営幹部メンバーに何でも質問できるオンライン・セッション『Ask Me Anything』を開催しました。社員の不安や懸念を認識することで、信頼関係を強化することができたのではないかと思います」

企業文化が組織のダイバーシティの鍵である


従来の企業の採用プロセスでは、採用候補者がその企業の既存の文化に適しているか否かが採用基準の1つになっているため、同質な人材が集まりがちになる。HubSpotは自社の採用プロセスがこのような理由で排他的になる可能性に気づき、数年前から従来のプロセスを徹底的に見直し、企業文化に何かを「加えてくれる」人材を探すようになった。この変化は2021年のダイバーシティ・レポートにも如実に反映され、例えば米国拠点での採用人数に占めるBIPOC(black, indigenous, and people of color)の割合は2017年のレポート公開時の約20%から、2021年レポート公開時には42.9%と2倍以上に増えている。

「ダイバーシティの問題は個人的にもプロフェッショナルとしても私の中核にあります。採用時だけでなく、HubSpotでは四半期に1度社員全員から業務内容や業務量、職場環境で感じていること、足りないことなどのフィードバックを得てデータ化し、専門家とともにダイバーシティの視点で分析しています。他にも女性社員がキャリアアップするためのディスカッションを積極的に行うグループを設置したり、国際女性デーなどの記念日では、スピーカーを招待してイベントを開催したりしています。

ダイバーシティと言っても、どの軸で測った多様性を重視しているかは地域によって異なります。例えばアメリカでは現在職場における人種のダイバーシティが大変重要な課題ですが、日本の場合はジェンダーダイバーシティやシングルペアレントが活躍できる環境づくりに課題がある。企業文化同様、ダイバーシティにおいてもそれぞれの地域の課題を平等に重要と見なして改善策を練り、実行しています」

現在HubSpotではバークを含め経営幹部のうち4人、役員のうち3人を女性が占め、他米企業と比較しても高い女性シェア率を誇る。女性の声が企業に変化を与えることができる十分な数だ。今後の展望としてバークは「バランス」の重要性を挙げている。

「目標は単純に女性やBIPOCのシェア率を多くすることではなく、そういった人たちの声がもみ消されることなく重要視され、成長できる職場環境をしっかりと整備していくことです。多様な社員、そして未来の世代が誇りに思えるような企業を全員でつくっていくことを目指しています」


HubSpotの東京オフィス



ケイティ・バーク(Katie Burke)◎HubSpot最高人材責任者(CPO)。ベイツ大学卒業、マサチューセッツ工科大学スローン マネジメント スクールMBA取得。HubSpot入社前はAthletes’ Performance and Core Performanceにおいて、マーケティングおよび企業パートナーシップ部門の部長を務める。在職中、同社はFast Companyの「最も革新的な企業」の1つに挙げられ、CNN MoneyやYahoo!、ESPN、The New York Timesなどにも取り上げられた。

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Promoted by HubSpot 文=稲村美紀 編集=高城昭夫

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