少女虐待現場になったNYの邸宅売却、56億円が賠償基金に

今回売却されたマンハッタンの豪邸(Photo by Scott Heins/Getty Images)

少女の性的人身取引の罪などで起訴され、勾留中の2019年8月に自殺した米国の資産家、ジェフリー・エプスタインがニューヨークのマンハッタンに所有していた邸宅が売却され、約5100万ドル(約56億円)が被害者への賠償基金に移管されたことがわかった。遺産管理人の弁護士がフォーブスに明らかにした。

売却されたのは東71丁目9番地にある約2600平方メートルのネオクラシックの豪邸。敷地の一部は未成年の少女に対する性的虐待の現場の一つとされ、2019年の逮捕後に行われた家宅捜索では少女の全裸や半裸の大量の写真などが見つかっている。

エプスタインの遺産を管理する弁護士のダン・ワイナーによると、移管は11日に行われた。賠償基金の管理人を務めるジョーディー・フェルドマンは、エプスタイン側から約1000万ドル(約10億9000万円)を受け取ったことを確認した。

基金は被害を訴えている150人強に計約5500万ドル(約60億円)を分配したあと、賠償のための資金が足りなくなったと伝えられていた。受領した約1000万ドルは、最近行っていた資金の補充要請を満たす額だという。

ニューヨークの不動産業界関係者の話では、当初の売却希望価格は8800万ドル(約96億円)だったが、エプスタインの事件による「スキャンダル割引」で値引きされた。買い手候補には内見はしたくないという人も複数いたという。

購入者の身元は明らかになっていないが、不動産会社ネスト・シーカーズ・インターナショナルのタル・レズニックはフォーブスの取材に、購入にはペーパーカンパニーの一種であるLCCが使われたと話した。

ニューメキシコ州のランチハウスやパリの別邸、米領ヴァージン諸島のプライヴェートアイランドなど、エプスタインの残りの遺産はまだ売却されていない。フロリダ州パームビーチの邸宅は、契約を結んでいる地元の不動産開発業者が解体を計画していると報じられている。

編集=江戸伸禎

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