テクノロジー

2021.04.16 07:30

妊活用アプリも。ベビーテック 19億ドル市場の可能性

Getty Images


家にいながら胎児の成長チェック?


COVID-19の影響で注目されているのが、病院に行かずして胎児の心音などが聞けるデバイスだ。フィリップスはパンデミック時に妊婦と医師をサポートするため、子宮のなかにいる赤ちゃんの心拍数と活動を監視することができるAvalon CLを世に送り出した。妊婦と医師の不必要な物理的接触を軽減しつつ、いつでも胎児の心音が確認できることで不安になりがちな妊婦の気持ちもやわらげてくれる。
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フィリップスのAvalon CL(画像提供:フィリップス・ジャパン)

こうした製品は一般向けに販売される場合にはウェアラブルとモバイルアプリのセットで構成されていることが多く、心拍をエコーできるHeraBEATはそのひとつも同様だ。また、メロディ・インターナショナルが出したモバイル分娩監視装置iCTGは、胎児の心拍だけでなく妊婦の子宮の収縮状態もチェックできる。

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メロディ・インターナショナルが出したモバイル分娩監視装置iCTG(画像提供:メロディ・インターナショナル)
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ベビーモニター、意外なその「新市場」


そばにいてあげられないときも赤ちゃんの安全を遠隔で確認できるベビーモニターは、ベビーテックの定番中の定番であると同時に最大のセグメントだ。2019年に発売されたBluebellの「スマートベビーモニター」は自身、父である医師たちによって企画された製品で、2021年4月現在、売上げ前期比30%増の快挙を記録している。同社によると、同製品のヒットの背景には「英国内のミレニアル世代の34%がウェアラブルデバイスを所有」といった市場の成熟も大きくある、という。

「スマートベビーモニター」は赤ちゃんの動き、呼吸、体温、スリーピングポジション、その赤ちゃんのクセなどを24時間年中無休で追跡してくれる製品だ。食事・風呂・睡眠の時間になるとアラートを出して知らせてくれるので、もうすぐ〇〇の時間かと推測したり時間をチェックする必要がなくなる。

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Bluebell社の「スマートベビーモニター」(画像提供:Bluebell)

そして実は同製品には新しい市場が見込めるという。同社と提携するテック・スタートアップ、Connido社CCOのロミ・マシューは次のように話す。「高齢化社会が進むなか、ベビーモニターには『介護用品』としての応用も可能と考えています。別居している高齢の親の体温や心拍数をリアルタイムでチェックできることの心理的安心感は大きいと思います」。

Bluebell社製品のデザインを手掛けるTangerine社CEOのマーチン・ダービシャーも、次のように言う。「コロナ禍は高齢者や障害者の健康にも大きな問題を投げかけています。そんな中、ベビーモニターが介護施設に導入されれば、介護スタッフは入居者との接触頻度を減らしながら、密なケアが可能になります。感染防止の観点でも介護スタッフ、入居者両方に大変なプラスになるはずです」。

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Bluebell社の介護用モニター(画像提供:Bluebell)

親は乳児の生後1年で「睡眠1カ月分」を失う


赤ちゃんが家のメンバーに加わって、両親がまず悩まされがちなのが夜泣きやそれに伴う周囲の人間の寝不足だ。Warwick大学の研究によると、新米の両親は赤ちゃんが生まれてからの最初の1年で最大1カ月の睡眠を失うという。赤ちゃんが一晩中ぐっすり眠れるよう睡眠を補助してくれる革新的なテクノロジーや製品が近年いくつも発表されて期待を集めている。例えば、Happiest BabyのThe Snooがそうだ。かご型の赤ちゃんベッドで、子宮を模倣した音・優しい揺れ・振動を使って赤ちゃんのニーズに自動的に応えることで赤ちゃん(それから、その親)に良い眠りを促すのである。

一見、奇をてらったユニークなものに見えがちな製品・サービスもある。ソックスやオムツがモニターになるのだ。Owletのスマートソックスは、履かせておくだけで眠っている赤ちゃんの血中酸素濃度と心拍数をチェックしてくれる。心拍数が変動したり、赤ちゃんが呼吸困難になった場合には両親に警告を送ってくれるので安心だ。また、P&GのパンパースもLumi by Pampersと銘打たれたセンサーを装着するオムツが2020年のCESで発表されている。オムツにつけるセンサー、モニターカメラ、アプリで構成されており、アプリを通じて24時間赤ちゃんを見守ることが可能だ。紙オムツに装着したセンサーからの検知で、オムツ替えのタイミングや赤ちゃんの睡眠状況がわかる。

「アプリで歯磨き」も


スマート歯ブラシも登場した。AGU Baby(Advanced Growing Up)のBrushyは、子どもが自分で正しく歯を磨けるようになるよう、トレーニングアプリケーションが備えられている。親には歯みがきの後にデンタルレポートが届くため、1人で歯みがきをさせても子どものブラッシング状況を把握可能だ。

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AGU Baby(Advanced Growing Up)のBrushy(画像提供:AGU Baby AG)

またCYBEXのSirona M with SensorSafe2.0は、車内での赤ちゃんの安全性を強化するスマートチャイルドシートだ。子どもがクリップを緩めたり、周囲の温度の変化や車内への放置で熱中症の危険にさらされたとき、あまりに長く座っていたときなどに、アラートを発する。

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CYBEXのSirona M with SensorSafe2.0(画像提供:CYBEX)
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文=アステル 編集=石井節子

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