そして、先日は競売大手クリスティーズのオークションで、ビープル(Beeple)と呼ばれるデジタルアートの作家の作品「5000 Days」が6930万ドル(約75億円)という驚異的金額で落札された。この作品はNFTと呼ばれる暗号資産(仮想通貨)のトークンとして販売された。
大手タレントエージェンシーのUTAは、デジタル資産部門を立ち上げて、俳優やアーティストたちのこの市場への参入を支援していく。UTAは、アートや音楽、映画、スポーツ、コメディーなどの様々な分野からチームを編成し、この新しい機会にどのようにアプローチすべきかを助言する。
「私たちは、このエキサイティングで非常に複雑な市場のあらゆる側面をどのように乗り越えるかについて、クライアントにアドバイスしていく」と、UTAのチーフ・イノベーション・オフィサーのブレント・ワインスタインは述べた。「NFTに出品を行うべきかどうか、行うとしたらどのように行えば最も成功するかについて、クライアントに助言を与える」と彼は話している。
NFTは、アートやその他のメディアをデジタルで売買する方法として、暗号資産分野の新たなブームとなっている。NFTの売上をモニターしているNonfungible.comによると、その市場規模は3年前の約4000万ドルから3億ドル以上に成長している。
NFTは、ブロックチェーン技術を用いてデジタル資産が誰の手に渡ったかを記録し、その資産が本物であることを担保する。さらに、NFTが魅力的なのは、クリエイター自身が自分の作品の二次的なセールスに参加可能な点だ。
UTAは、今後数カ月の間に十数点の出品を予定しており、その中には、70年代のプログレッシブロック界の伝説的バンド「イエス」のアートワークで有名な画家のロジャー・ディーンや、グラミー賞にノミネートされたシンガーのホールジー(Halsey)が含まれている。
転売からもロイヤリティ収入を得られる
ホールジーは先日、NFTオークションを通じて自身の絵画を販売する計画を発表したばかりだ。
「アーティストのNFTの購入者たちは、他のアートと同様に、それを別のオークションで転売することが可能だ。しかし、NFTはスマートコントラクトの仕組みによって、作品が転売された際にも、売上の一部をアーティストに還元できる点が特徴的だ」と、ワインスタインは述べている。
UTAは、ハリウッドのタレントエージェンシーとしては最も早期にデジタルへの注力を開始し、2006年にデジタル部門を設立した。同社には、数多くのTikTokのスターやインフルエンサーたちが在籍しており、その中にはユーチューブチャンネルの登録者数が約1000万人のエマ・チェンバレンなどが居る。
UTAは2011年に世界のタレントエージェンシーで初めて、ソーシャルメディアのアドバイザリー業務を開始した。同社のCEOのジェレミー・ジマーは、現代美術のコレクターとしても知られている。