メーガン妃とヘンリー王子が語ったところによると、2人は、結婚後の初外遊としてオセアニアを訪問した際に、各地で熱烈な歓迎を受けた。ところが、その人気ぶりに王室の一部が不快感を抱いたようで、ザ・ファームは態度を一変させたという。
この話題を境に、会話の雰囲気は一変する。そして、人種差別へと話が及び、王室メンバーが2人のあいだに生まれてくる子どもの肌の色について懸念を示したと、メーガン妃は打ち明けた(ウィンフリーはインタビュー放映の翌日、子どもの肌の色をめぐる会話には、エリザベス女王もフィリップ殿下も関わっていなかったと明言した)。この一件で我慢の限界に達した2人は、王室離脱に向けた交渉を開始した。
「パートタイムの妃」に身分を変更するためのマニュアルなど存在するはずもなく、王室離脱をめぐる合意に向けた複雑で困難なやりとりは、ほぼ公然と展開された。英国はちょうど、2020年1月31日に欧州連合(EU)を離脱し、ナショナリズムが高まりつつある状況にあった。
筋金入りの王室派であるタブロイド紙が騒ぎ立て、世界ではパンデミックが発生。そんななか、ヘンリー王子とメーガン妃は、王室にとどまるためにできる限り努力したのと同時に、ある程度の自由、そして何よりも安全を強く要求したと、ウィンフリーに語っている。しかし、王室側がその求めに応じようとしなかったため、2人は王室を離脱して自立する以外に道はないと決断した。
ウィンフリーとのインタビュー番組は、2人の物語を語り、彼らのブランド「アーチウェル」設立に向けて用意周到に計画された「お披露目計画」のクライマックスだったように見える。
このインタビューは、前職を辞めて新たな挑戦を始める方法を示した上級特別クラスだ。起業家を目指す人は、2人が経たプロセスから多くを学ぶことができる。
市場は明らかに、2人が支持する持続可能性や家族の価値、スタイル、健康といった重要な社会的価値を代弁してくれる、美しく雄弁なスポークス・パーソンを求めている。そして2人は、かつて所属した組織が用意してくれたプラットフォームは絶大な影響力をもっていたとはいえ、あまりにも時代遅れで、自分たちの価値を効果的に広めるためには適さないことに気がついたのだ。