エネルギー転換と石油・ガス投資の両立はできるのか?

求められる有効な投資とは(Photo by Unsplash)


こうしたシナリオを想定すると、ヨーロッパの大手石油会社が資産を売却したとしても、すぐに行き詰まることはなさそうです。今後20~30年の間に需要が残ることになれば、これらの資産の継続的な運用が正当化され、規制や制限がなくなれば、他の企業が所有権を取得する可能性が高くなります。したがって、地球規模の排出量への影響はほとんど期待できないということになります。

エネルギー転換:CO2削減が難しい産業はどうするか


基本的なレベルにおいて、「公正なエネルギー転換」とは、経済発展と成長、エネルギー安全保障とアクセス、そして、環境の持続可能性という、同程度に重要ではあるものの時には競合する目標を横断して実現するものです。

再生可能エネルギー、特に風力発電と太陽光発電は、手頃な価格でクリーンなエネルギーを提供するための主要な解決策の一つであり、経済発展の大きな機会を提供することができます。しかし、航空、海運、重工業といったCO2低減が困難な産業(hard-to-abate産業)成長、雇用創出、社会経済的繁栄に及ぼす影響と戦略的重要性を考慮すると、このセクターへの投資は、「公正な」エネルギー転換の定義を念頭に置いて評価されています。

エネルギー投資
世界経済フォーラム イメージ: World Economic Forum

前進するための5つの鍵


今後の課題は非常に重要です。石油・ガス産業は、世界的な気候目標に合わせて転換を進めていく必要がありますが、今後数十年間は、多額の新規投資を必要としています。つまり、鍵となるのは、「最も低コストで、最も二酸化炭素排出量の少ない石油とガスを生産できる投資は何か」ということです。

石油・ガス需要は減少しているとはいえ、既存の需要を満たすと同時に「公正なエネルギー転換」を支援し、株主や政府を含むすべてのステークホルダーを満足させるような投資を行うには、どうすれば良いのでしょうか?

1. 現在の資産配分、バリューチェーンにおける役割、事業を展開する国によって、各石油・ガス企業ごとにロードマップが異なることを認識しておく必要があります。

電化に加えて、カーボンキャプチャー(二酸化炭素回収)、利用・貯蔵(CCUS)およびバイオエネルギーなどの技術も重要な解決策として認識する必要があります。エネルギー転換が石油・ガス業界の未来を形成することは間違いないものの、転換の過程や投資家の反応は、企業によって大きく異なるでしょう。

2. 気候変動対策においては、二酸化炭素の排出源がどこであるかに関わらず、一貫して、迅速な削減が全体の目標になります。つまり、最も費用対効果が高く、容易に目標を達成できる対策に重点を置く必要があります。
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