ヴァギナはタブーか? 「エコフェミニズム」に自由と権利はあるか?

2021年1月初旬、ブラジルの芸術公園ウジナ・デ・アルテに出現した立体造形作品『Diva(歌姫)』


外陰部であり、地球という肉体の「傷」


冒頭のブラジル人アーティスト、ジュリアナ・ノタリには届けたいメッセージがあったが、巨大な外陰部の立体造形物を丘の上に設置することの是非を論じる声にかき消されてしまった。ジュリアナ・ノタリによれば、この作品(『Diva(歌姫)』という)は、外陰部であり、地球という肉体の傷でもあるという。つまり、エコフェミニズムのアート表現なのだ。この作品を通して、環境汚染の問題がジェンダー不平等と密接に関連している事実に注目が集まる。ある個人が消費者として自然に向き合う態度は、家長制度社会が女性やその他の社会的弱者に向き合う態度と類似していると気づいてしまうためだ。

人間は自然と敵対する。己の目的のためなら、自然を道具扱いしたり、開拓したり、搾取したりできると考え、力の垂直関係を構築する。私たちの社会でも同じだ。たいていの既得権層、裕福で影響力のある層は、自己と自己の利益と、自然だけでなく資源として社会的弱者との間にも垂直関係を構築する。こうして搾取と社会的不平等の終わりのない循環が永遠と続く。

アートやアクティビスト界において、これからも外陰部は、社会の保守派からいわれのない攻撃や敵意を何度も受けることになるだろう。しかし、行動を起こすことで、女性の身体性が当然のことと見なされ、タブーの崩壊やジェンダー平等に一歩近づくことになるはずだ。

翻訳=上林香織 編集=石井節子

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