お菓子についてくるシールやおもちゃはおまけの代表格だが、最近はユニークな「おまけ」が増えている。なかでもユニークな事例とその背景にある意図をご紹介しよう。
みなさん、「おまけ」は好きですか? 子どものころ、おまけ欲しさにお菓子を買った方も多いのではないでしょうか。
かくいう私もその1人です。子どもから大人まで、おまけは人の心をワクワクさせるもの。人の心を動かし、行動を変え、市場をつくることをマーケティングとするなら、おまけはそのきっかけになるものといえるでしょう。「おまけ+マーケティング=おマーケティング」の視点で世の中を見てみると、おまけの進化や新しいマーケティングのヒントが見えてきます。
一粒寿司
東京・浅草にある、創業48年の「すし屋の野八」では、無料で提供される通常の300分の1のサイズの一粒寿司が大人気。
ネタも道具も握る手も、通常サイズと変わらないその一粒寿司を食べに、多くの人がお店を訪れています。食材一つひとつに手間をかける江戸前の職人魂と、ハードルが高く緊張して味がわからなくなってしまうお客さんにリラックスして、おすしを楽しんでもらいたいという江戸前流のおもてなしが、その一粒に込められています。海外からこの一粒を食べにきた方が、感動のあまりずっと泣きっぱなしだったという話もあるとか。
日本ならではの質の高い職人技が光り、海外観光客からも高い人気を誇る一粒寿司
一粒寿司には通常サイズのような食べ応えはありません。しかし、職人技で握られた一粒を食べるという特別な体験が、お店のファンを増やしています。
おまけにつられて買ってしまう、おまけ本来の価値がユニークに進化している例といえるでしょう。