ビジネス

2021.03.15

おまけ+マーケティング=「おマーケティング」という視点

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ほかにも、単なるモノではない特別な体験がおまけになっている例があります。最近は広く知られるようになってきたクラウドファンディング(以下CF)のリターンはおまけの宝庫。

支援者はプロジェクトを「応援」の気持ちを込めて支援しますが、やはり気になるのはどんなリターン(=おまけ)があるか。多くの人々の支援の決め手になるのがリターンの内容なのです。

インターステラテクノロジズの国産宇宙観測ロケット「MOMO」打ち上げのためのCFでは、支援金額1000万円のリターンが、なんとロケットの打ち上げボタンを押す権利。高額にもかかわらずリターンは完売し大きな話題になり、多額の支援を得て成功していました。私もそのおまけの影響でプロジェクトのことを知りました。

発射ボタンを押すのは、本来であればスタッフの誰かが担当すること。そこを支援者に任せることで、プロジェクトの一員として巻き込むことに成功しています。これまで外部へ提供していなかった「自分では当たり前の体験」が、他人にとっては魅力的なおまけになり、しかも話題となってより多くの人々へ伝播していく好循環を生んだ例です。


1000万円の支援で「打ち上げボタンを押す権利」が得られることで話題に

キャラメルのおまけが「家」


さらにおまけが進化し、商品やサービスとおまけの主従が逆転した例をご紹介しましょう。

建築集団SAMPO.incは、キャラメルを500万円で販売。そのおまけとして「家」が付いてくる『CARAMELPOD』という商品をつくりました。おまけと商品が逆転したユニークな販売方法です。「誰にだって必要な家。とにかくカジュアルにしたい」という思いから、30年ローンを組まなくても買えるコンテナハウスとモバイルハウスを組み合わせた家を、購入者のライフスタイルに合わせて販売しています。実際に500万円のキャラメルを購入した人は何人もいるようです。

家がキャラメルのおまけになるのなら、コンビニやスーパーで家を売ることもできるかもしれません。おまけと商品の主従を逆転させることで、販路拡大につながる可能性を感じさせる事例です。
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文=高橋窓太郎、大山徹、鳥巣智行 イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN No.078 2021年2月号(2020/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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