途上国等での新型コロナワクチン輸送、期待されるドローンの利用

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ドローン技術の活用に対する関心が高まっている理由は、比較的単純だ。ドローンによる薬やワクチンの輸送は、僻地における医療格差の解消だけでなく、コスト削減の可能性も秘めたアイデアとして有望視されているのだ。ブルース・Y・リーによるForbes過去記事でも述べられているように、高度なシミュレーションモデルでは、次のようなことを示唆する結果が得られている。

「ワクチンを医療施設へ輸送することに関しては、ドローンはかなり幅広い条件下において、従来の地上ベースの輸送と比べてコストを削減(20~50%)できる。削減の幅は、ドローンがサービスを提供できる範囲内における人口規模、地上輸送のための道路条件、輸送の相対的スピードに大きく左右される」

もちろん、そうしたあらゆる面に関して最重要の条件となるのが、技術的な課題が完全に解消されることだ。ワクチンが温度変化の影響をきわめて受けやすく、しばしば扱いに細心の注意を要することを考えれば、ワクチン輸送に伴う物流上の課題は、けっして簡単に解決できるものではない。

また、実際に接種するためには、大規模なインフラと、訓練を受けた専門職員が必要になる可能性もある。新型コロナワクチンに関しては、一部のワクチンで極低温での保管や特殊な配送条件が求められるため、保管や配送がとりわけ難しくなっている。

だが、全般的な技術上の課題、規制上のハードル、そして実施に伴う困難が、患者や接種者にとっての安全性を損なわないかたちで解消できれば、医薬品輸送インフラにおけるドローン技術の導入は前途有望かもしれない。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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