なぜこれほど日本で人気? 大人気のジープ・ラングラーのサクセスストーリー


インテリアも一新した。水平基調のダッシュボードには、グレードで異なるボディカラーと同色のインパネのレトロっぽさはシックで決めている。画家アンディ・ウォーホールが喜びそう。ダッシュボードの上面には奥行きがなく、すぐに縦型のフロントウインドウがレイアウトされているし、助手席の目の前には悪路走行用のバーハンドルが備わるなどといったディテールは従来型から一新しているが、全体的にコクピットは現代風にデザインされている。590万円からスタートする価格で、これがアメリカが作る最もセンスが良く乗ってて楽しいインテリアだと感じた。

運転席の写真

さて、走りはどうだ。ボディオンフレーム方式を採用し、ラングラー初のフルタイム4WDシステムと、前後とも5マルチリンク・サスペンションを備えているので、コーナリング性能はより安定している。ダンパーはセッティングを見直し、オンロードの走行性能とオフロードや雪上でも走破性は文句なしの出来栄えだ。「4H AUTO」モードでは路面、特に滑りやすい雪道に応じて駆動力を自動的に前後配分し、よっぽどのことをしない限り、4つのタイヤがしっかりと氷の路面を支配した。

何よりもどの路面でもドライバーに自信を与える。新ダンパーのセッティングとボディマウントの調整により、乗り心地とロール制御、そしてハンドリングが大きく改善され、特に雪上ではグリップ性が優れている。ルビコンにはフロント・リアのデフロック機能や、フロント・スタビライザーを切り離してタイヤの動きの自由度を高める「電子制御式フロントスウェイバー・ディスコネクトシステム」がついている。つまり、フロントスウェイバーのロックを解除することでサスペンションストロークが最大25%拡大できるので、大きな岩場があっても楽に乗り越えられる。とにかく運転には柔軟性を感じたね。

11ぶりにフルモデルチェンジを受けているモデルだけに、安全装備の進化は凄い。自車と他車との間隔を監視するブラインドスポットモニターや、後方を横切る車両や歩行者などを検知するリアクロスパスディテクション、駐車時に前方障害物を感知するParkSenseフロントパークアシストを標準装備する。

後ろから見たルビコン

日本仕様のエンジンは、新設計の直4 2リッター・ターボと、改良型のV6 3.6リッターの2種の中、僕は後方車のV6に乗った。284PSの最高出力と347Nmの最大トルクを発生する、V6自然吸気(NA)エンジンのパワーは十分と言える。やはり、シフトショックの少ない8速ATと組み合わせたNAによる自然なトルクデリバリーは力強いだけでなく、オンロードや雪道でも、ドライバーの要望に問題なく応える。しかも、走行中、キャビンに入り込むノイズは、おそらくドライバーが聞きたがるタイヤノイズをアクセルを踏んだ時のブオーっという音だけなので、乗ってて楽しい。

とにかく、ラングラーの伝説的でユニークなルックス、どの路面でも走れるハードウエア、そしてポップなインテリアはクルマ好きの間ではさらに人気が増すだろう。唯一、不満を感じたのは、まだハイブリッド仕様がないことだけかな。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら>>
 

文=ピーター・ライオン

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