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──音楽イベントプロデューサーとして大変だった経験について聞かせてください。

2019年のコーチェラで、カニエ・ウェストのサンデー・サービスを共同プロデュースしたときの経験がプロデューサーとしての胆力を鍛えてくれました。野外フェスのだだっ広い会場に丘を作り上げ、サンデー・サービス(日曜礼拝)を実現したのですが、準備期間は1カ月しかありませんでした。さらに言えば、カニエから次々とアイデアが飛び出し、実際の準備期間は2週間でした。

この経験で、プロデューサーには“予期せぬものにも対応できるフレキシビリティ”と“まとめあげる力”が大切であることを身をもって学ぶことができました。


ノエルがカニエと実現したコーチェラ 2019「サンデー・サービス」の様子(1:32:35以降)

──あなたが音楽イベントプロデューサーとして大切にしていることは何ですか?

「エスケープ(逃避)」ですね。ゲストに“逃避できる場所”を提供することです。生きていると、仕事を失ったり、お金に困ったり、その他多くのストレスや悲しみにであいます。そのような状況にいる人々に、数時間だけでも嫌なことを忘れて自分自身を取り戻してもらうためのイベント体験をつくることを大切にしています。

アーティストとファンをつなげる接点をたくさん作ることで、ゲストが辛い現実から一度逃避し、心からの喜びを感じていただく時間を提供したい。

こう考えるようになった私の原体験は、大学の時にプロデュースした音楽イベントです。特別ゲストで著名ラッパーのドレイクを招いたのですが、そのときのファンの熱狂、みんなが日々の困難や苦労を忘れて楽しんでいる様子が強烈に残っています。束の間、せつなの体験であったとしても、嫌なことを忘れ、その後の日々の喜びにつながる音楽イベントを作りたい、いまもその思いを強く持ち続けています。

文=西村真里子

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