香港で一、二を争うインスタ映えスポットに出店
今でもオンラインショップが主要な販売チャネルであることに変わりはないが、実店舗を持つことで客の奪い合いになることはなく、むしろオンライン世界での存在感が一層増す。「会社の経営状態とキャッシュフローに余裕があるなら、先例のあるこうした試みを実践することを強くお勧めしたい。店舗の新設や拡大から学べることがたくさんあるからだ。店舗を運営し、現実に客と対面してフィードバックを得ることで、もっとすばらしい商品を創れるようになる」とウェス・ウンは話す。
D2Cブランドである同社は、まず期間限定で様々な地域に出店し、売れる地域を調べた。「オンラインショップのデータを活用して、どの地域に顧客が多いかを調査した」とウェス・ウンは説明する。他のランドマークに先んじて、映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』や『トランスフォーマー/ロストエイジ』の撮影場所にもなったクオリーベイ地区の公営住宅街モンスターマンションの片隅に出店した。なぜそんな場所に店を出したのか不思議に思う人もいるかもしれないが、香港で一、二を争うインスタ映えスポットだと知れば納得がいくはずだ。
鮮やかなデジタルインスタレーションが特徴の「CASETiFY キューブ」は最高のインスタ映えスポット
思い切って香港国際空港にも期間限定で出店したが、よりによって新型ウィルスのパンデミックの真っ最中だった。「期待した結果は得られなかった。文字通り一人も飛行機に乗る人がいなかったからだ。売上はとても及第点とは言えないが、この選択は間違っていなかったと思う。ただ時期が悪かっただけだ」。ウェス・ウンのコメントはきわめて率直だ。
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日本1号店も渋谷にオープン、コロナ禍さえ好機に
今後の海外進出についても積極的な意欲を示しており、2020年11月には日本1号店を渋谷にオープン。今年4月(来月)には大阪でのオープンを控えている。いずれはアメリカにも進出する考えだ。パンデミックの影響は依然として続いているが、それでもウェス・ウンは成長に自信を見せる。目標を定め、次々と新しい計画を進めている。
市場に対するウェス・ウンの信頼は揺るがない。「これぞという商品があれば、今がベストタイミングでさえある。香港ではみんなが競争を強いられているので、これまでにない最高の条件で取引ができるはずだ」。香港の賃貸料はとんでもなく高いと言われるが、最近はそうでもなくなっている。今は低コストであらゆる実験ができる、またとない好機なのだ。