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2021.03.12

JPモルガンのビットコイン「投資バスケット」が非難される理由

Getty Images

投資銀行大手JPモルガンが、暗号資産(仮想通貨)関連株に投資できるバスケット型の投資商品を提供しようとしている。

米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、JPモルガンはビットコインなどの暗号資産と関わりを持つ11社の株式を、バスケット型の投資商品として提供することで、顧客が特定の暗号資産に投資せずに、暗号資産関連株に包括的な投資を行うことを可能にするという。各社の株式のバスケット内での割合は、ビットコインへのエクスポージャーと流動性などに基づいて決められている。

米国ではSECがビットコインETFを承認していないことを考えると、JPモルガンのバスケットは、顧客たちが当局の規制を回避しつつ、暗号資産分野への投資を行うことを可能にするツールと言える。

バスケット内の組成割合の上位4社としては、マイクロストラテジー(20%)やスクエア(18%)、Riot Blockchain(15%)、NVIDIA (15%)らが挙げられる。満期日が2022年5月5日とされるこの投資商品のパフォーマンスは、合計で68%を占めるこれらの企業の株価に左右されることになる。

バスケット内にはさらに、マイニングに使用されるGPUを製造するAMDや、デリバティブ取引所のCMEグループも含まれている。

企業のビットコイン保有状況を追跡するbitcointreasuries.orgのデータによると、上位の3社が保有するビットコインの価値は、合計で56億ドル(約6000億円)相当に達している。目論見書によると、このバスケット商品の手数料は1.5%で、取扱は最低1000ドルからという。

しかし、JPモルガンの取り組みには、即座に非難の声があがった。クリプト投資企業Arcaの投資責任者のJeff Dormanは、ツイートで「ゴミのようなポートフォリオ」と呼んだ。彼の主張では、ブロックチェーンや暗号資産は、スクエアやNVIDIAなどの企業のコアビジネスや収益にほとんど影響を与えないという。

AMDはバスケットの約5%を占めているが、同社の暗号資産との主なつながりは、同社のチップが暗号資産のマイニングなどに用いられる高性能なコンピュータに使用されている事実のみだ。AMDは、マイナーたちを支援すると宣言したが、暗号資産の価格変動がAMDの収益に影響を与えるかどうかは疑問だ。
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編集=上田裕資

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