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2021.03.15

航続距離200kmの電動自転車「Modmo」を生んだベトナム製造業の力

(c) Modmo

ベトナムは長い間、Tシャツや靴などの低スキルの製造業のハブとして知られてきたが、製造業のバリューチェーンを拡大しようとしているこの国は、Modmoのような洗練された電動自転車の製造拠点として、その地位を押し上げようとしている。

Modmoは、世界最高の電動自転車を作るという野心を抱く24歳のアイルランド人、ジャック・オサリバンが設立した企業だ。同社は本社を置くサイゴンにちなんだ名前のSaigon+と、Saigon Sという2つの自転車を発表したばかりだ。

オサリバンは2018年に、プロダクトの製造を委託するための工場を探しに中国に旅立ったが、ふさわしい工場が見つからなかったため、知人からの提案を受けて、ベトナムに2日間滞在することにした。

「ホーチミン市の郊外にあるオートバイ工場を見学したとき、すべてが整理されていて、正確で、溶接はすべてロボットで行われていることに驚いた」と彼は話す。

Modmoの自転車のフレームはロボットで溶接されているが、継ぎ目のない空力的に優れたプロダクトに仕上げるためには、約17時間の手作業によるサンディング(研磨)が必要だ。オサリバンは、ベトナムの工場が高度な設備を備える一方で、人件費が低い点に魅力を感じたという。

彼が最初に雇ったエンジニアは、それまで電動自転車の設計を手がけたことが無かったが、熱心に働く姿勢に感銘を受けたという。

「ベトナムの人々は、言葉の壁をそれほど大きな壁とは考えていない。彼らの中には、アップルと十分仕事ができるほどのスキルを持つ人が存在する」とオサリバンは話す。

47個のパーツで構成されるSaigon+の車体の中心にあるフレームの中には、取り外し可能なバッテリーが格納され、200キロの航続距離を実現している。車体は250kWのモーターで駆動され、5段階のパワーレベルが選択可能だ。

スピードやバッテリー残量、走行距離はハンドルバーのディスプレイに表示され、アンドロイドベースのModOSが、ライダーをナビゲートし、スマホを持って車体に近づくと電源がONになるシステムとなっている。さらに、チャイルドシートやバスケットなどの追加オプションも用意されている。

オサリバンが2年前に1ベッドルームのアパートから立ち上げたModmoは、今では川沿いのヴィラにオフィスを構え、資金調達に向けた準備を進めている。「今年は、昨年の5倍の売上を達成したい」と彼は話した。

Modmoの自転車は公式サイトから注文可能で、Saigon+の価格は2499ユーロ(約32万4000円)、Saigon Sは1599ユーロ(約20万7000円)となっている。

編集=上田裕資

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