ビジネス

2021.03.16

ヒントは「江戸前のすし屋」にあり。コロナ禍でも成功する企業の秘密

Ippei Naoi /Getty Images

新型コロナウイルスによるパンデミックが大きく世界を変え、多くの人が苦難を経験しています。その一方で、これまでにない成長を遂げたビジネスも存在します。

しかし、現在好調な企業であっても、パンデミック発生以前に、何が起きるかを予想できていたわけではありません。ビル・ゲイツが、以前からパンデミックに関する危惧を発信していたことは有名な話ですが、これを真摯に受け止めていた人は少ないのではないでしょうか。

では、現在好調な企業の成功の裏には、どのような秘密が隠されているのでしょうか。「たまたま」と言う人もあるかもしれません。「幸運に恵まれた」と言う人もあるかもしれません。しかし、私は、現在成功している企業には、人の暮らし方や働き方についての理想があり、消費者の「先回り」をしてソリューションを提示してきた実績があると考えています。

ゲーム機開発で体験した2つの「先回り」


スティーブ・ジョブズは、生前、消費者に何が欲しいかを聞いて製品をつくっていても、それが完成する頃には消費者はさらに新たなものを欲しがっているという趣旨のスピーチをしました。

私もこれまでの経験から、ジョブズの指摘に同感するところが多々あり、消費者の声には謙虚に耳を傾けつつも、「先回り」をして新たな価値を提供することにこそ意義があると考えています。

私の場合は、ビデオゲーム業界に長くいたので、これまでにない価値体験をユーザーに届けることを目指してきました。

私が手掛けた仕事の一例ですが、オンライン環境の進歩に伴いネットワーク機能を強化してインタラクティブな遊び方を提供したり、技術革新の恩恵を受けビデオゲーム機のメモリを従来よりも大幅に増やすことによってソフト開発の幅が広がりエンターテイメント性を高めたりして、新たな価値を提供できるビデオゲーム機を手掛けてきました。
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文=茶谷公之

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